「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークは、日本の子どもの貧困解決を目的として、2010年4月25日に設立された個人参加のネットワークです。
メーリングリストでの情報発信・共有、相互交流などを中心としつつ、ゆるやかなつながりで運営されています。

組織と規約

ネットワークには、世話人会がおかれ、運営・実務を担っています。

規約につきましては、こちらからご参照ください。

連絡先

「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク

TEL 070-6576-3495
メールアドレス mail[at]end-childpoverty.jp [at]をアットマークに置き換えてください。
ホームページ https://end-childpoverty.jp

世話人

加藤志保
川松亮
岸野秀昭
酒井勇樹
高橋亜美
津田知子
中嶋哲彦
西川治
西牧たかね
平湯真人
松本伊智朗
三輪ほう子
山野良一
湯澤直美
綿貫公平

紹介リーフレット

こちらからリーフレットをご覧頂けます。(2021年3月29日リニューアル版)

リーフレットをWEBページで見る

リーフレットPDFファイル(A4両面)

設立宣言

PDFファイルはこちらからダウンロード頂けます

1月31日に準備会としてスタートした私たちネットワークは、2009年年度末、高校授業料無償化目前に、中学生・高校生の卒業と進路確保の危機「卒業クライシス」に取り組んできました。この3か月間、決して十分ではありませんが、小さな一歩を踏み出すことができたと感じています。

それを、小さいけれど「確かな」一歩といえるとしたら、全国から高校生・若者たち、保護者の方々が、駆けつけ声をあげてくださったからです。また、これまで長いあいだ、それぞれの領域で、子どもたちに寄り添い、さまざまな活動を積み重ねてこられた方々との出会いとつながりを広げ・深めることができたからです。

しかし、中学・高校卒業後、進路が決まっていない若者たちはまだ大勢います。学ぶ場も働く場も得られない若者が実際どれくらいいるのか、正確な人数はわかっていません。一方、不況で子育て中の世代に共働きが増え、希望しながらも保育所に入れない子どもたちは、4万6000人以上もいます(厚生労働省、2010年3月発表)。子どもたち・若者たちに喜びの春は、めぐってこないままです。

「人類は、子どもに対し、最善のものを与える義務を負う」――20世紀のはじめ、国際連盟の総会で採択された「児童の権利に関するジュネーブ宣言」は、まさに「子どもの世紀」の幕開けとなるものでした。そして、「子どもの最善の利益」を共通の目標として、成長・発達する存在である子どもの幸福追求権を保障するために、国際的な取り組みが進められてきました。

しかし、その後の社会経済の進展は、平和で平等な社会の進展には結びつかないばかりか、多くの子どもから夢を奪うような現実となって、子どもの暮らしをおびやかしています。2007年の国連総会では、「子どもが経験する貧困は、子どもの権利条約に明記されているすべての権利の否定と考えられる」として、貧困にさらされる子どもを生み出す現代社会に警鐘を鳴らしています。

2009年は、国連で「子どもの権利宣言」が採択されてから50周年、子どもの権利条約採択20周年という子どもの権利実現にとって、大きな節目の年でした。そしてその年、日本政府は、はじめて子どもの貧困率とひとり親家庭の貧困率を公表したのでした。

私たちは、子ども・若者たちと社会の将来を見据え、2010年を「子どもの貧困解決元年」としようと、決意しています。10年後、私たちは、多くの「子どもの貧困」を解決し、子どもが安全に安心して意欲をもって育つことができ、そしてそこに、子ども・若者たちに信頼される社会があることを思い描いて行動していきます。

私たちは、政府が子どもの貧困率の削減目標をつくり、子どもの貧困をなくすための具体的な計画を立てることを求めていきたいと思います。そして、相対的貧困率という一つの指標・数値だけでは見えてこない子どもの貧困の実相を、領域横断的な視座やひとりの人間の一生といった時間的継続的な視座からも明らかにする努力を重ねていきます。

きょうここに、「子ども・若者『学びの平等宣言』」を作成し、若者たちが参加しているように、子ども・若者たちを主人公に、声をあげにくい子どもたちの声に耳を傾け、取り組みをすすめていきましょう。

私たちは、子どもの貧困のない社会、子どもの貧困を放置しない社会をつくることをめざします。行政と市民、国と自治体、NPO・団体と個人などそれぞれの領域・持ち場から、子どもたちの暮らすそれぞれの地域から、手を取り合って、取り組みをすすめていきましょう。

私たちは、このネットワークが、その要となり、つながりをつくり広げる場、発信していく場になることを願っています。

2010年4月25日、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの設立を宣言します。

2010年4月25日 「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク設立記念シンポジウム参加者一同

 

子ども若者「学びの平等宣言」

PDFファイルはこちらからダウンロード頂けます

長引く不況、厳しい雇用情勢が続く昨今。経済的な理由から高校や大学を中退、もしくは進学することをあきらめる子どもや若者がいます。なかには、家庭を支えるため、「学ぶこと」より「働くこと」を選ばざるを得なかった子どもや若者もいます。

「お金がない」という理由で、「学ぶこと」を続けられなくなるということは、非常に悲しくつらいことです。それは、大切な居場所を失うことであり、友人どうしの日々のつながりを失うことでもあります。

そうしたなか、今年4月から高校授業料が無償化されることになりました。この政策は、こうした状況を改善するにあたって、画期的な第一歩です。

しかし、子どもたちの学びを考えるうえで、今回の政策だけでは、その支援の対象とならない子どもたちがいることを無視できません。

学びとは、人が人として暮らしていくために欠かせないものです。ゆえに、その学び方も多様であるべきです。学校に通う子どもはもちろん、朝鮮学校に通う子どもや学校外の居場所に通う子どもも、自分にあった居場所で学んでいます。また、家庭で育つ子どもや自立援助ホームで育つ子どもも、自らのペースで学んでいます。

さらに、高校に通うためには、授業料以外にも、教科書代や修学旅行費など払わなければならないものがあり、お金を心配しながら学校に通っている生徒もまだいっぱいいます。

「学ぶ意志」のある子ども・若者たちに対し、さまざまな「学びのかたち」を支援する社会となるよう、その足がかりとして、私たちは次のことを求めます。

〈フリースクール・フリースペース〉
○高校授業料無償化の対象に、フリースクール・フリースペースを加えてください。
○フリースクール・フリースペースに通う高校生年齢の子どもに、通学定期券の適用を認めてください。

〈朝鮮学校〉
○高校授業料無償化の対象に、朝鮮学校も差別なく加えてください。

〈定時制高校〉
○教科書代や修学旅行費など授業料以外の学費の私的負担を少なくしてください。

〈自立援助ホーム〉
○私たちは学びの前に、「生きて行くための場所」を確保していかなければならない環境にいます。学ぶことに向き合うスタートラインにも立てていません。「学びたい」という気持ちが自然に抱くことのできる安心で安全な生活環境の保障をしてください。

〈あしなが育英会〉
○次世代への貧困の連鎖を断ち切るため、子どもの貧困対策基本法を制定し、子ども・若者の貧困問題に真正面から向き合ってください。
○高校、大学の給付型奨学金を公的資金で新設してください。

 2010年4月25日「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク子ども若者シンポジウム登壇者一同

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