「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク
2010年度総括・2011年度活動方針

2011年6月18日

 

私たちは、子どもの貧困をわがことと受けとめ、子どもの貧困をなくす取り組みをより活性化させるため、2010年4月、このネットワークを設立しました。その際、私たちは2010年を「子どもの貧困解決元年」とし、ねばり強く活動を継続していくことを決意しました。
そして、今年4月には総会を開催し、2010年度の総括と2011年度の活動方針を議論する予定でした。しかし、3月11日の東日本大震災による被害とそれにともなうさまざまな予定変更を受け、第2回総会を6月6日まで延期しました。
本総会を新たな出発点として、子どもの貧困をなくす活動を継続的に発展させましょう。

1 2010年度総括案と活動から見えてきたいくつかの点
(別紙「活動報告および経過」参照)
① 本ネットワークでの交流を通じて、互いの存在や活動、その意義を知り、励まされ、つながり・連帯の力を実感できたこと。
② 低所得世帯等への学校外での学習支援(学びサポート)が、さまざまな地域・運営主体・方法で、急速に広がり、その情報交換や学び合いを始めることができたこと。
③ 義務教育段階の就学援助制度についての調査準備や、就学援助サポート実践交流会の開催などにより、貧困状態・生活困難にある子どもと家庭への支援として、制度やシステムを活用するには、自治体ごとの支援内容の格差をなくしていくことや、個々の子ども・家庭への人を介した援助が重要であることが明らかになったこと。
④ 子どもの貧困の問題については、子どもの貧困解決スタートキャンペーンや子ども手当問題等で、国会議員や政府への働きかけを行ってきたが、引き続きねばり強く取り組むことが重要であること。
⑤ 昨2010年2-3月に取り組んだ「卒業クライシス」問題での一定の成果から、2011年度も期待が寄せられたが、この問題での独自の取り組みができなかったこと。

2 新たな情勢と課題:子どもの貧困と東日本大震災
東日本大震災は、地震・津波に加え原発事故という非常事態を巻き起こし、子どもの貧困をなくす取り組みを進める私たちネットワークにも、緊急で新しい課題をもたらしています。子どもの貧困解決と、被災者・被災地支援と復興は、私たちのネットワークにとって、どちらもこれからの最重要課題であり、2つの課題をつなぐ視点をもつことが重要です。
この2つの課題について、特に次の点について、留意する必要があるでしょう。
①被災者救済・被災地復興に関心が集まるなかで、子どもの貧困という従来からの社会的課題を後まわしにする傾向が生まれていること。
②時間の経過とともに、被災者・被災地のなかでも、より困難な子ども・家庭の存在やその社会的孤立の問題が明らかになりつつあること。
③災害という非常時において、充実した給食の実施、保育料や学費負担の軽減、通園・通学手段や費用の保障、適切な援助者の配置、地域とのつながりといった子どもたちのための日常のセーフティネットの重要性が浮き彫りになってきていること。
④どんなときにもどんな子どもたちにも、育ち、学び、暮らすことを保障できるよう、
子どもの貧困解決にむけた政策の継続的な実施を政府に求めることが重要であること。

3 2011年度の活動方針案
今年4月と5月のネットワーク会議を通じて、今後の活動の大枠が議論されました。
2011年度の活動は、以下の取り組みを柱とし、子どもの貧困解決に向けて、ネットワークの特性を生かしながら、臨機応変に活動していきましょう。

<活動の柱>
① 子どもの貧困解決と被災者・地支援をつなぎ、本ネットワークの特性を生かした取り組みを進めます。
HP内支援情報の充実、関連団体とのネットワーキング、学習交流、シンポジウムの開催など
② 子どもの貧困が社会問題であるという認識の共有と、その解決に向けた社会的合意を形成するために努力します。
リーフレットの普及・活用、『イギリスに学ぶ子どもの貧困解決』7月刊行予定
③ 子どもの貧困解決に向けて政府や国会への要請や施策の提案を行います。
④ 低所得世帯・生活困難世帯の子ども・若者たちへの「学びサポート」活動の相互交流、調査、全国交流会の開催(7月3日(日)プレ企画、10月29日(土)全国交流会)
⑤ 子どもの貧困の実態を調査し、学ぶとともに、広く社会全体に広めます。
調査チーム:家計費の調査活動、セミナーの開催など
⑥ 子どもの貧困の解決のための国際的経験から学びます。
⑦ 子どもの貧困解決をめざす政策の継続的な実施を政府に求めることにつながる「子どもの貧困対策法(仮)」制定にむけて、学習・企画や他団体との協力に努めます。
⑧ 子どもの貧困率の削減目標と行動計画を策定するよう、国に対して、引き続き働きかけます。また、政府内に子どもの貧困対策チームをつくることを要請します。
⑨ 子どもの貧困解決に関係するさまざまな領域の活動をつなぎます。
子どもの貧困解決に取り組むさまざまな個人や団体と連携して、以上の課題に取り組みます。

<活動予定・スケジュール>
6月19日(日)13:30~17:00 於:司法書士会館(チラシ参照)
シンポジウム 震災と子どもの貧困を考える
――「子どもの貧困対策法(仮)」にむけて

7月3日(日) 13:30~16:30 於:アットビジネスセンター池袋 本館501号室
学びサポート全国実践交流会プレ企画+実行委員会
(学びサポート全国調査実施)

7月上旬   『イギリスに学ぶ子ども貧困解決――「子どもの貧困対策法」にむけて』
(「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク編、かもがわ出版)
刊行予定(チラシ参照)

10月29日(土)学びサポート全国実践交流会(詳細未定)

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