2015年12月23日(水)東京都教育委員会「都立高校改革推進計画•新実施計画(案)」に対する意見を提出致しました
東京都教育委員会は、「都立高校改革推進計画・新実施計画(案)」の骨子を取りまとめ、
現在パブリックコメントを募集しています。
「東京都教育委員会ホームページ」へのリンク
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/index.html
*〆切は12月25日です。
FAX 03−5388−1727
東京都教育庁都立学校教育部高等学校教育課宛て
(郵送、FAX、電子メールで送付可)
「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会は
「子どもの貧困」と深い関わりを持つ夜間定時制高校について、
以下のような「意見」をまとめ、東京都教育委員会に提出致しました。
「都立高校改革推進計画•新実施計画(案)」への意見
2015年12月23日 「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会
東京都教育委員会は、本年11月標記「計画(案)」と、その「骨子」を明らかにし、向こう3年間の計画策定に向けて、いま広く「都民の声(パブコメ)」を求めています。
「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク(以下、NW)は、翌月に設立集会を準備していた、2010年3月、経済的な理由から高校授業料が払えず、そのために卒業出来ないという生徒が現れたことを、「卒業クライシス」と問題視し、当該自治体や世論に訴えました。その結果、社会的不公正を正そうとするメディアの動き、世論の後押しも加わって、文部科学省より一定の改善策となる「通知」を引きだすことができました。
また、同じ春、東京都では、都立定時制高校の二次試験の合格発表を終えた3月末の段階で、313人もの不合格者が生まれました。高校進学を希望しながら、その一歩を踏み出すことが出来ない若者が大量に生み出されたのです。関係者からは、それまでの多様化•少子化に対応したという「都立高校改革推進計画」のもとで、「都立高校をつぶし(再 編統廃合)過ぎた」、中でも「夜間定時制高校が半減された」ことが、問題の本質との指摘がなされました。こうした事態は、全国に共通した動きです。特に、多摩地域では、立川以西に夜間定時制高校が無くなり、不登校や様々な条件の下、「働きながら学びたい」思いや「学び直し」を求める子ども•若者の進学の道が狭まり、閉ざされたと言えます。
NWは、その後「子どもの貧困対策法」制定(2013年6月「子どもの貧困対策に関する法律」成立)を求める取り組みの中で、「学びのセーフティネット」としての夜間定時制高校の果たす役割を評価し、現場関係者や当事者の報告を得る学習会を重ねました。その中で得たのは、夜間定時制高校は、①少人数で、しかも異年齢、外国籍を含むなど、様々な人々の中で学び直す(生き直す)ことができる機会、②家の近くにあってこそ通い続けられる場、…であることです。
今日「不登校」の子どもたちは、年ごとに増加し、小中学校あわせて12万人をこえています。その背景として、国連子どもの権利委員会が、日本政府に対し再三にわたり勧告したように、管理や競争が激化する今日の学校教育のあり様があることは、否定できません。さらに「格差社会」の深まり、「子どもの貧困」それ自体が子どもたちの成長発達に不利をもたらしています。家計が逼迫し、社会的に「孤立」した状態から、「学びのセーフティネット」にすら辿りつけない子ども•若者がいる、しかも増加している。この現実を直視しなければならないように思います。子ども•若者の学習機会の保障は、彼らがこの社会に生きていていいということ(生存権)を保障する大切なものです。行政が謳い、目標とする「知識基盤社会」や「グローバルな社会」であれば尚更、これまで以上に求められるべきものです。
今回の、都教委「計画(案)」では、夜間定時制高校をさらに4校(立川、江北、小山台、雪谷)廃止するとしています。夜間部を含めた「三部制高校」や「チャレンジスクール」を新たに設けるとしていても、大規模校化が予想され、少人数で生徒と教師間の丁寧な対応から、子ども•若者の学び直し、生きる明日を見出すような学びの場となることは困難と考えます。夜間定時制高校は「学びのセーフティネット」です。さらに、「子どもの貧困対策大綱」で、全国に公立夜間中学校を設置する方向が出されたことは、夜間定時制高校の今後に大きな役割と希望を与えています。
これ以上、東京の夜間定時制高校をつぶさないでください!
https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2015/12/20151223keikaku_iken.pdf