2017年12月18日(月)緊急アピール「生活保護基準の引き下げに反対します。」
緊急アピール
生活保護基準の引き下げに反対します。
2017年12月18日
「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク 世話人会
厚生労働省は、5年に1度の生活保護基準の見直しで、食費や光熱費等の生活費にあたる「生活扶助費」の基準額を最大1割引き下げ、母子加算等の各種加算も引き下げる方針を打ち出しています。これは、12月8日に行われた社会保障審議会生活保護基準部会で提出された検証結果案に基づくものです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000187366.html
厚生労働省では、検証結果案を基に今週(12月18日週)中に新たな基準を正式にまとめ、2018年10月から適用を始めて段階的に実施するとしています。
報道によると見直し案に基づけば、例えば、大都市に住む中学生と小学生の子ども2人を持つ40代夫婦の場合、支給額(各種加算を含む)が月約21万9000円から約19万4000円と11%減ります。65歳の高齢単身者も月約8万円から約7万3000円と8%減となります。母子加算は子ども1人の場合、現在の平均月2万1000円から1万7000円と19%も下がります。
その後、当事者・支援団体等からの反対により、削減は最大5%に抑えるという報道がされており、削減幅は変動がある可能性があります。が、今回の削減は2013年の大幅な引き下げに続くものであり、生活保護世帯の子どもや親たちの生活に大きな影響を及ぼしかねないものです。
また、生活保護基準は就学援助など、各種福祉・子育て支援サービスの基準額とも連動していることが、2013年の基準引き下げ時に指摘されていました。実際、多くの自治体で、生活保護基準の引き下げが、就学援助基準の引き下げの根拠とされたのです。さらに、生活保護基準は、高校生の奨学金や住民税の非課税基準、最低賃金など、国民生活全体に影響を及ぼすおそれがあります。
そもそも、生活保護を利用しない低所得層の世帯との比較において基準額を決める方式そのものが、大きな問題を抱えています。日本では、生活保護基準未満で暮らしている世帯のうち、実際には2~3割程度しか生活保護を利用していないとされます。その理由としては、自動車の保有を原則として認めないために、車がなくては生活が著しく不便になる地域では、保護申請を諦めるということがあるなど、制度上の問題が大きいとされます。特に、格差が拡大する現在の社会状況では、低所得世帯に合わせていけば、際限なく基準切り下げ・生活保護費の削減が進んでいくことが危惧されます。
こうした方法については、2013年に基準引き下げを決めた際の生活保護基準部会の委員たちからの反対意見同様、今回の基準部会においても、委員から反対意見が続出していることが報じられています。
以上のような点から、子どもの貧困問題を悪化させる生活保護基準の引き下げに、強く反対します。
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