2018年1月3日(水)新年のごあいさつ
明けましておめでとうございます。
2018年、新しい年を迎え、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
昨年中はたいへんお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。
昨年6月、政府が公表した「平成28年度 国民生活基礎調査の結果」では、
2015年における子どもの貧困率は、前回(2012年)の16.3%より2.4ポイント減少し、
13.9%であったとされました。これは、およそ7人に1人、全国で約270万人もの子ども
たちが貧困な暮らしをしていることになります。2.4ポイントは減少幅として小さな
ものではありませんが、これら数値の意味は慎重に分析・検討する必要があります。
また、日本の子どもの貧困率は、国際的に見ても依然として高い水準にあります。
ユニセフによる報告「レポートカード14」(2017年6月)では、子どもの貧困につい
ては37カ国中23位、格差では41カ国中32位(格差が大きい方から10番目)、社会移転
による子どもの貧困率の削減幅は37カ国中31 位とされています。
12月には、厚生労働省が、5年に1度の生活保護基準の見直しで、食費や光熱費等の
生活費にあたる「生活扶助費」の基準額を最大5%引き下げ、母子加算等の各種加算
も引き下げる方針を打ち出しました。同じく12月に公表された「平成28年度全国ひと
り親世帯等調査結果」では、母子家庭の平均年間収入は348万円で、児童のいる世帯
の平均所得の49.2%に留まります。このような生活実態のなかで、生活保護基準・母
子加算の引き下げが実施されれば、生活保護世帯の生活に大きな影響が及ぶことは必
至であり、さらに就学援助や高校生の奨学金にも影響が及ぶ可能性があります(本
ネットワーク世話人会は、12月18日付で、生活保護基準の引き下げに反対する緊急ア
ピールを公表)。
他方、政府は、2019年4月から幼児教育・保育の無償化を一部先行実施し、2020年
4月には高等教育を含めて無償化を実施するとの方針を固めたと報道されています。
0~2歳児の幼児教育・保育と高等教育については、無償化の対象を住民税非課税世帯
に限定するものですが、当該世帯の子どもの育ちと学びの機会を広げ充実させること
が期待されます。ただ、これと引き替えに、他の社会保障制度が切り下げられないよ
う注意することも必要でしょう。
また、子供の貧困対策大綱の閣議決定から3年が経過し、内閣府では子どもの貧困
対策に関する有識者会議を中心に、子どもの貧困に関する重点施策が検討されていま
す。同大綱は実施5年後に見直しを検討することとされています。それぞれの領域や
立場の取り組みを通じて明らかになった課題が大綱の見直しに反映されるよう、はた
らきかけることも必要でしょう。
「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークは2010年4月に発足し、現在では200
0人を超えるみなさまが本メーリングリストでつながり合っています。さまざまなお
立場からの発信によって、子どもの貧困問題の解決に必要な視点や取り組みを共有で
きることは、子ども/若者の未来を創るうえで大きな財産です。みなさまのご尽力に
あらためて感謝申し上げます。
さて、すでにご案内申し上げておりますように、1月20日(土)13:30より、東洋大
学白山キャンパスにおいて、第7回子どもの貧困対策情報交換会を開催いたします。
今回は、阿部彩さん(首都大学東京教授)「子どもの貧困に関する指標について」
と、沢田直人さん(愛知・社会福祉士)「学習支援の評価指標から考える子ども貧困
指標」をもとに、子どもの貧困に関する指標について考え合いたいと思います。「生
活保護基準引き下げについて」も、桜井啓太さん(名古屋市立大学講師・元ケース
ワーカー)に緊急問題提起をお願いしています。多くの方のご参加をお待ちしており
ます。
詳細は、こちらから>> https://end-childpoverty.jp/archives/2695
本年は、国連子どもの権利委員会で日本政府報告書の審査が予定されています。国
際的な子どもの権利実現に向けた取り組みに日本の子どもの貧困問題も位置づけられ
るよう、市民・NGOのみなさまとともに、子どもの貧困問題解決のため、力を合わせ
てまいりましょう。
2018年1月3日 「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク 世話人会
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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク
TEL 070-6576-3495(電話番号が変わりました)
E-mail mail@end-childpoverty.jp
HP https://end-childpoverty.jp
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