【開催報告】2021年7月10日(土)第17回子どもの貧困対策情報交換会

 2021年7月10日(土)14時30分~16時30分、第17回子どもの貧困対策情報交換会「社会的養護を考える-『ケアリーバー全国調査』を受けて」を開催しました。

(主催:「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク/助成:公益財団法人 キリン福祉財団)

社会的養護経験者(ケアリーバー)の現状の把握と支援のあり方は、長く課題とされていましたが、2020年度、厚生労働省による初の全国調査が実施されました。今回の情報交換会は、この調査結果や当事者の社会的養護に対する評価から何を考えるべきか、みなさんと一緒に学び合う機会として企画されました。
 最初に、今回の全国調査の検討委員会委員をお務めになった伊部恭子さん(佛教大学教員)から、「『ケアリーバー全国調査』から考えること」として報告がありました。伊部さんの報告では、今回の全国調査に至る背景として過去の「自立支援」をめぐる制度の変遷や調査研究の経過が整理されたのち、調査の実施方法、結果の概要が示されました。最後に「何を学び、どのように活かすのか」として、ここから出発することの重要性、私たちがどのように生き、どのような社会をつくるのかという提起がなされました。
 次に、社会的養護の当事者参画をすすめる団体であるIFCA(International Foster Care Alliance)のメンバーから、「社会的養護経験者の活動から―経験をどう生かすか」の報告がありました。3名の社会的養護経験者畑山麗衣さん、布施響さん、理沙さんがお話になり、IFCAのサポートメンバーでもある長瀬正子さん(佛教大学教員)がファシリテートをされました。IFCAの目的(ユース・アドボカシーによって社会的養護制度・政策をより良い方向に変えること)や活動、IFCAが実施した調査の紹介ののち、今回の全国調査について評価を含むコメントがあり、「一時保護所や途中で家庭復帰した人たちの追跡調査がされていない」「ケアリーバー全国調査対象者の枠の外側にも困難を抱えている人たちがいる」という指摘がなされました。最後に長瀬さんから、子どもの権利条約を基盤に置くことの重要性が話されました。
 休憩をはさんで、報告者相互のコメント、高橋亜美さん(アフターケア相談所ゆずりは)からコメントがあり、その後参加者からの質問と応答がなされました。新型コロナウイルス感染拡大によりオンラインでの開催でしたが、全国から約200名の参加がありました。
 当日の報告者と参加者の方々に、改めて感謝申し上げます。

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク 世話人会

■登壇者資料(当日スライドから一部変更あり)

〇報告1. 伊部 恭子(いべ きょうこ)さん (佛教大学・全国調査検討委員会委員)

https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2021/07/20210710ibe.pdf

(PDFファイル:2MB)

〇報告2. IFCA(社会的養護の当事者参画をすすめる団体) メンバー

https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2021/07/20210710IFCA.pdf

(PDFファイル:8MB)


■参加者アンケートより

・調査対象にすらならない人たち、声をあげられない人たちの声をどうやってくみとるのかに力を注ぐこと自体が制度や施策の改善につながっていくことを実感できました。

・ケアリーバーのお話を聞けたのは貴重でした。みなさん客観的に分析されていて驚きました。「貴重なお話ありがとうございました、と言われて終わるだけ。のことには僕たちお腹いっぱいなんです」というコメントはまさしく本音だと思います。感情レベルを超えて、現実のなかで自分が何をすればよいかを、真剣に考えていきます。

・伊部先生の報告にあった死去·自死が30件という事実に、はっとさせられました。

・報道されていたアンケート結果の後ろにあるものが少し見えたような気がしました。

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