【開催報告】2023年3月19日(日)第22回子どもの貧困対策情報交換会
2023年3月19日(日)14:00~16:30、第22回子どもの貧困対策情報交換会を開催いたしました。
(主催:「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク/助成:公益財団法人 キリン福祉財団)
今回のテーマは、「児童館の今後のあり方~ソーシャルワーク機能の充実に向けて~」。
講演タイトルと講演・報告者は、以下のとおりです。
〇講演「児童館は子どもの権利のとりで~遊びからはじまるソーシャルワーク~」
・安部 芳絵さん/工学院大学 准教授
〇報告
・木戸 玲子さん/京都市修徳児童館 館長
・大久保 さくらさん/北海道中標津町西児童館 児童厚生員
安部さんは、まず、子どもに関するあらゆることを考えるときの「ものさし」として、国連子どもの権利条約が大前提になることを明確にし、こども基本法11条では、すべての基礎自治体でこども施策にこどもの意見を反映させることが義務となっていることを指摘しました。
また、「児童館ガイドライン」と、昨年12月に報告された「社会保障審議会児童部会 放課後児童対策に関する専門委員会『児童館のあり方に関する検討ワーキンググループとりまとめ』」について、子どもが自分で選んで行くことができる唯一の児童福祉施設という児童館の特性を生かし、遊びを通してソーシャルワークにつなげていく視点の重要性を強調しました。
木戸さんは、日々の子どもたち、地域の人たちとの具体的なやりとりを紹介しながら、「子どものことなら、児童館に聞いてみよう」と言われ、とてもうれしかったと語りました。そして、地域で過ごせることは、子どもにも親にも大事であることも、添えました。
大久保さんは、「中標津町から、不幸な子どもをつくらない、つくらせない」を合言葉に活動していると語りました。地域の関係機関とは、子育て支援・虐待防止ネットワークをつくり、公設公営の児童館としての役割をもっているとのことです。
お二人とも豊富な実践内容で、質問も、他の関係機関との関係や人の確保や育成についてなど、幅広い関心がうかがえました。
■参加人数
約200人
■参加者のお立場・地域
児童館職員(館長・厚生員)・自治体主管・運営団体職員・行政職員・自治体議員・NPO職員・学童保育指導員・保育士・児童自立支援施設指導員・教職員・スクールソーシャルワーカー・学生・大学院生・研究者・メディア関係者・支援団体ほか
北海道から四国・九州・沖縄まで全国各地から
■参加者の感想より
・小学5年生の父親なのですが、児童館とは何か、なぜあるのか、これまで知らなかった。 地域でどんな役割を担っているのかをぱちんと教えていただきました。
・私は児童館職員としてまだ1年に満たない館長ですが、そんな短い期間でも、厚生員さんたちがとても頑張ってくれている姿と、それに対する評価が見合っていない現状を見てきました。
全体の内容ももちろん良かったですが、最後に先生が行政関係者に対して仰って下さったメッセージに本当に涙が出ました。次年度から、より一層頑張っていきたいというモチベーションになりました。
・子どもの貧困対策の視点から児童館を運営している法人として、スタッフにも聞かせたい内容でした。アーカイブ化していただくことは難しいでしょうか?
・安部先生の「児童館は子どもの権利のとりで」遊びの中から子どもたち・保護者・地域が見えてくる。というお話はよく解りました。実際に現場で頑張っている先生たちのお話も現状がわかりよかったです。
・児童館・児童施設についていままで昨今のニュースの影響でマイナスのイメージが数多くありました。
しかし、皆様のお話を聞いていくうちに子供たちの大切な居場所というだけでなく地域や保護者の方にとってもなくてはならない場所ということを学ぶことができました。ニュースだけの情報をうのみにしてはいけないと気付いた時間でもあります。
・市内の子どもの居場所づくりを児童センターと共に推進しており、10ヶ所の居場所が2年間でできています。しかし、こども家庭庁の組織図のどこにも児童館の文字がないのは、残念、というか、虚しいですね。
・司会の方の進行・コメントが素敵でした。