6月19日(日)「震災と子どもの貧困を考える」シンポジウムを開催致しました

6月19日(日)に開催致しましたシンポジウム
震災と子どもの貧困を考える「子どもの貧困対策法(仮)」に向けて
について、次のとおりご報告いたします。

 共同代表:湯澤直美・平湯真人・山野良一・三輪ほう子

アピール文

シンポジウムの開催に際し、本ネットワークの世話人会で協議し
共同代表名でアピール文を作成致しました。

シンポジウム報告

6月19日(日)、司法書士会館にて、
「震災と子どもの貧困を考える―『子どもの貧困対策法(仮)』にむけて」
を開催しました。多くのボランティアのみなさんのご協力のもと、
約120名の参加があり、盛況に実施することができました。
マスコミ関係の皆様の取材も多く、当日のNHKニュースでも取り上げられ
ました。

第1部では、
①全国父子家庭支援連絡会(以下、全父子連)代表理事の片山知行さんと
全父子連理事であり宮城父子の会代表の村上吉宣さん、
②特定非営利活動法人チャイルドラインみやぎ代表理事、
災害子ども支援ネットワークみやぎ代表世話人の小林純子さん、
③宮城県柴田農林高等学校教諭、宮城県高等学校・障害児学校教職員組合
執行委員長の高橋正行さん、④全国里親会調査員の竹中勝美さん、
⑤セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン緊急支援プログラムマネージャーの
津田知子さんによるリレートークが行われました。

第1部リレートーク:震災と子どもの貧困

限られた報告時間にもかかわらず、それぞれに依拠している立場から、
東日本大震災が子ども・保護者、教育現場等の諸機関、地域社会などに与えた
影響とを踏まえ、震災と子どもの貧困をつなぐ視点が語られました。

主な論点としては、
・災害が起きたことによって、従来の子どもにもたらされていた貧困状況が
あぶり出されている。震災当初は「生死」が一番の問題となっていたが、
今は、特に生活再建のなかで格差の問題が浮上してきている。
・学校現場や行政施策が、震災以前から政策的に様々な歪みを負わされてきた
ために、震災後の被害がひどくなっている。例えば、広域合併によって住民が
どこにいるのかが把握できない現状があったり、給食がセンター方式になった
ことで避難所(学校)で食事をつくれなかったりしている。
鉄道が被災し高校への通学に困難がもたらされたが、学区が廃止された影響が
重なり、バスによる長距離通学を余儀なくされ、授業に最初から参加できない
などの問題も出てきている。
・災害後の対策も問題が多い。例えば、全寮制の学校をつくろうという発想が
あったが、そこには、児童養護施設に入所している子どもに対して十分な理解
がないと言わざるをえないのではないのか。
・被災した子どもやおとなを支えるにあたっては、援助する側と援助される側
という境界を越えて、お互いがつながっていることを伝えることが大切。
また、被害を受けた子どもやおとなが主体になって地域の復興を行っていく
ことを支えることが最大の援助ではないか。

第2部では、佐藤学さん(東京大学大学院教育学研究科教授・教育子育て九条の
会呼びかけ人)による講演があり、おもに以下のお話がありました。

第2部講演:東日本大震災後に考える子どもの貧困と教育・子育て

・今回の震災では、学校が防災の拠点であることが浮かび上がった。
子どもたちの死者数は少なかったとみてよいのではないか。
つまり、子どもたちは学校によって守られた。発生時に多くの子どもは学校に
いた。もし、自宅にいた場合は、これ以上の被害者が出ていたのではないのか。
・しかし、子どもの本当の被災は震災後に起こっている。学校を失った地域は、
子どもの生活基盤の復興の目途がない。子どもを取り巻く復興は極めて遅れて
いると言わざるをえない。
・日本の子どもの貧困の特徴は、「見えない」こと。教育の分野では、就学援助
制度や奨学金制度が崩れていることが大きな要因となっている。
・教育目的は幸福の目的であるべきである。生存権を維持するために教育が必要。
憲法こそが教育を守るもの。義務教育はライフラインであるべき。教育予算は、
未来への投資である。
・「子ども手当」というすべての子どもへの手当の創設で、日本の子どもは
はじめて、「社会の子」になった。

・最後に、アメリカのオバマ大統領が、大統領になる直前に語ったことばを紹介
したい。
 大統領選の過程で黒人居住区の高校を訪問して語った言葉で、私の親友の
アメリカの最も指導的な教育学者でオバマの教育顧問であるリンダ・ダーリング・
ハモンドが、彼に同行して聴いた言葉です。
These children are not their children, but our children.
「彼らの子どもたちは、彼らの子どもではない。私たちの子どもである」

最後に、本ネットワークの世話人会で協議し、共同代表名によって作成したこのシン
ポジウムに関するアピール文を説明させていただきました。

まとめ:世話人会

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