【開催報告】2022年6月19日(日)第20回子どもの貧困対策情報交換会
2022年6月19日(日)14時00分~16時15分、第20回子どもの貧困対策情報交換会
「内閣府「子供の生活状況調査」報告から考える」を開催しました。
(主催:「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク/助成:公益財団法人 キリン福祉財団)
昨年度、内閣府「令和3年度子供の生活状況調査」の分析報告が発表されました。子どもの貧困状況に関しては、これまでもいくつかの地方自治体で実態調査が実施されてきましたが、全国規模で実施されたものは今回が初めてとなります。
今回の情報交換会では、この内閣府の調査に携わった北里大学の可知悠子さんをお招きし、今回の調査の意義、調査から見えてきたもの、今後の全国調査や各地の調査に向けて検討するべきことなどを考える機会として企画されました。合わせて、今回の内閣府の調査を活用した沖縄県の調査についても、二宮千賀子さんからご報告をいただき、札幌学院大学大澤真平さんから最後にコメントをいただきました。
最初に、可知さんから内閣府調査の概要および主な調査結果についてお話をいただきました。まず、本調査に先行する研究として「令和元年度子供の貧困実態調査に関する研究」があり、それによって、これまで全国各自治体が実施してきたアンケート調査の共通項目を見出すことが目指されました。それらの項目をもとに今回の内閣府調査は実施され、子ども(中学2年生)と家族の生活状況についての全国的な実態把握とともに、経済状況及び世帯構成別に調査項目ごとの分析が行われました。調査項目としては、父母の就労状況、養育費、学校生活、非認知能力、逆境体験、新型コロナウイルス感染症の影響など多岐にわたっていました。今後の課題として、「物質的はく奪」指標などを加えた分析を行うことや、縦断調査の必要性などが指摘されました。
次に、二宮さんからは沖縄県による調査は、これまで7年間、子どもの年齢を変えながら毎年継続されてきているが、2021年度の調査は内閣府の全国調査との比較(中2)をベースに調査票が作成されており、全国と比較ができたことで、沖縄の現状をより深く推察できる調査になったとのお話がありました。特に、2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響の比較ができ、より意義のあるものになったとの指摘もありました。
最後に、大澤さんからは、全国での調査が行われたことがまず評価できる点であることが強調されました。今回の調査結果については、低所得の親たちがきちんとした子育てができる前提条件(例えば、所得、時間、気持ちの余裕、支援体制など)が欠けているという風に理解するべきであり、そうした点での支援の強化が求められているのだと思うとコメントがありました。
可知さん、二宮さん、大澤さんと、ご参加の皆様に改めて感謝申し上げます。
■参加人数
140人
■参加者のお立場
教職員、NPO法人、社団・財団法人、地方議員、学生・大学院生、新聞社、
大学教員・講師、自治体職員、スクールソーシャルワーカー、支援団体、
会社員、保育士、社会福祉士、弁護士、医師、子ども食堂スタッフ ほか
■報告資料
〇可知 悠子さん
・令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書
https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/r03/pdf-index.html
〇二宮 千賀子さん
・2021年度 沖縄子ども調査について
https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2022/06/20220619ninomiya.pdf
・参考)沖縄子ども調査の結果について(沖縄県ホームページ)
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/kodomo/kodomomirai/kodomotyosa/kekkagaiyo.html
■参加者アンケートより
・「子どもの貧困」おおよそわかっていたこととはいえ、社会統計によって位置付けることに意味はあると思います。内閣府が行なった以上、きちんと政策に結びつけていってほしいと思いました。
・全国調査がいよいよ現実化し、その結果についてお話しを聞く機会をいただき、大変ありがたく思います。また、沖縄調査と全国調査を並べて子どもの生活について考えることができ、今後のさらに子どもや子育て世帯に対する施策に生かされていってほしいと、改めて強く思いました。
・沖縄の報告で子どもの生の声が聞けて大変興味深かったです。生きた調査、政策につながる調査になっているのだと思います。子どもたちに夢や希望を与えられる調査にすることが大事ですね。
・報告書を読んだだけでは知りえない調査の背景や課題等についてお聞きすることができて良かったです。