2020年3月1日(日)「一斉休校要請」に関する緊急要望書

日曜日, 3月 1st, 2020

2020年3月1日(日)「一斉休校要請」に関する緊急要望書

2月27日に、新型コロナウイルスの感染拡大予防のために安部首相が表明した全国の
小中高・特別支援学校への一斉休校要請は、学校や学童保育・児童館、保育所、子ど
もの居場所などの子どもと家庭を支える現場のみならず、社会的に深刻な影響を与え
ています。それぞれの現場で奮闘されているみなさまには、心から敬意を表します。

この一斉休校要請は、経済的に困難を抱える子どもと家族に対して、さらなる負担や
孤立、不安を与えかねないことがを懸念されます。私たち世話人会では、緊急要望書
を作成し、安部首相をはじめ文部科学大臣・厚生労働大臣、内閣府特命担当大臣・内
閣府子どもの貧困対策担当参事官宛に提出いたします。

緊急要望書は、下記からダウンロード頂けます。
https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2020/03/20200301kyukou_yousei.pdf

★「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークMLご参加のみなさまにお願い

1.休校中に子どもが安心して過ごせる場づくりや昼食の保障など、
工夫して取り組んでいらっしゃる事例があればご紹介ください。

2.この問題でのみなさまの地域の実情・影響、行政・教育委員会・学校、
その他子どもに関わる動き、子どもたち自身の声・姿などを共有し、
よりよい対策・検討の一助といたしたく、このMLへの積極的な投稿を呼びかけます。

3.それぞれの地域、自治体でのご活動や自治体要請の際に、この要望書をさらに地
域の実情に合うよう具体化のうえ、活用していただけますと幸いです。

■2月29日 安倍内閣総理大臣記者会見の動画は、官邸ホームページより視聴が可能
です。

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0229kaiken.html

どうぞよろしくお願いいたします。

「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会



2019年4月15日(月)【第2次案】子どもの貧困対策法・大綱見直しに向けて

火曜日, 4月 16th, 2019

私たち「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会では、
子どもの貧困対策法・大綱見直しに向けて、要望書の第2次案をまとめました。

子どもの貧困対策法及び子供の貧困対策大綱の見直しについて
https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2019/04/20190415taikou_minaoshi.pdf

これは、3月5日に発表した1次案を経て、
その後、みなさんからいただいた声や要望をもとに、まとめたものです。
この間行われた学習会やネットワーク会議が、貴重な学びの機会と
なりましたことに心よりお礼申し上げます。

とくに、4月13日(土)のネットワーク会議では、
約20人の方々がこの要望書をもとに議論に参加してくださいました。
さまざまな地域から、児童養護施設・NGO・学習支援スタッフなどの
お立場からご発言をいただき、また、よりわかりやすい表現へのご提案など、
ありがとうございました。

今後、具体的な施策についても提案していきたいと思います。
引き続き、どうぞお力添えください。

「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会

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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

TEL 070-6576-3495(電話番号が変わりました)
E-mail mail@end-childpoverty.jp
HP https://end-childpoverty.jp
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2017年12月18日(月)緊急アピール「生活保護基準の引き下げに反対します。」

月曜日, 12月 18th, 2017

緊急アピール

生活保護基準の引き下げに反対します。

2017年12月18日

「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク 世話人会

 

厚生労働省は、5年に1度の生活保護基準の見直しで、食費や光熱費等の生活費にあたる「生活扶助費」の基準額を最大1割引き下げ、母子加算等の各種加算も引き下げる方針を打ち出しています。これは、12月8日に行われた社会保障審議会生活保護基準部会で提出された検証結果案に基づくものです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000187366.html

厚生労働省では、検証結果案を基に今週(12月18日週)中に新たな基準を正式にまとめ、2018年10月から適用を始めて段階的に実施するとしています。

報道によると見直し案に基づけば、例えば、大都市に住む中学生と小学生の子ども2人を持つ40代夫婦の場合、支給額(各種加算を含む)が月約21万9000円から約19万4000円と11%減ります。65歳の高齢単身者も月約8万円から約7万3000円と8%減となります。母子加算は子ども1人の場合、現在の平均月2万1000円から1万7000円と19%も下がります。

その後、当事者・支援団体等からの反対により、削減は最大5%に抑えるという報道がされており、削減幅は変動がある可能性があります。が、今回の削減は2013年の大幅な引き下げに続くものであり、生活保護世帯の子どもや親たちの生活に大きな影響を及ぼしかねないものです。

また、生活保護基準は就学援助など、各種福祉・子育て支援サービスの基準額とも連動していることが、2013年の基準引き下げ時に指摘されていました。実際、多くの自治体で、生活保護基準の引き下げが、就学援助基準の引き下げの根拠とされたのです。さらに、生活保護基準は、高校生の奨学金や住民税の非課税基準、最低賃金など、国民生活全体に影響を及ぼすおそれがあります。

そもそも、生活保護を利用しない低所得層の世帯との比較において基準額を決める方式そのものが、大きな問題を抱えています。日本では、生活保護基準未満で暮らしている世帯のうち、実際には2~3割程度しか生活保護を利用していないとされます。その理由としては、自動車の保有を原則として認めないために、車がなくては生活が著しく不便になる地域では、保護申請を諦めるということがあるなど、制度上の問題が大きいとされます。特に、格差が拡大する現在の社会状況では、低所得世帯に合わせていけば、際限なく基準切り下げ・生活保護費の削減が進んでいくことが危惧されます。

こうした方法については、2013年に基準引き下げを決めた際の生活保護基準部会の委員たちからの反対意見同様、今回の基準部会においても、委員から反対意見が続出していることが報じられています。

以上のような点から、子どもの貧困問題を悪化させる生活保護基準の引き下げに、強く反対します。

 

緊急アピールPDFはこちらからダウンロード頂けます

20171218urgentappeal.pdf

 



2017年6月29日(木)子どもの貧困率の発表について

木曜日, 6月 29th, 2017

2017年6月29日(木)子どもの貧困率の発表について

子どもの貧困率の発表について(PDFファイル)

6月27日、厚生労働省は、「平成28年度 国民生活基礎調査の結果」に基づいて、
貧困率を発表しました(2015年時点)。

子どもの貧困率は、前回調査の16.3%(2012年時点)と比べ、2.4ポイント低下し
13.9%となりました。子どもの貧困の代表的な指標である相対的貧困率に改善が
見られたことは歓迎しつつも、その要因と実態については、今後の詳細な分析・
検討を待ちたいと思います。

また、貧困状態にあるすべての子どもの生活に改善が見られたわけではないこと
にも、注意を払わなくてはなりません。特に、ひとり親世帯の子どもの貧困率は、
今回も50.8%と半数を超えています。

貧困状況には地域間での格差が見られることや、高額な学費教育費の負担など
相対的貧困率では測ることができない課題もあります。子どもの貧困の解決の
ためには社会全体で取り組むべき点が多く残されています。

さらには、6月14日に発表されたユニセフの調査(レポートカード14)によれば、
日本は「貧困撲滅」「不平等の削減」で下位に位置しており、国際的に見ても、
子どもの貧困問題で大きな課題をかかえていることが明らかになっています。
 
私たち「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークは、子どもの貧困対策法や
大綱の策定にあたって、貧困率削減の数値目標を設定することや多様な貧困指標を
用いることを要望してきました。今後、「子供の貧困対策大綱」の5年後見直しを
見据え、MLご参加の方々や市民のみなさんとともに、子どもの貧困の実態把握に
努め、子どもの貧困をめぐるさまざまな課題の解決のために、学び合い、
情報交換を続けていきたいと思います。

●「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク 今後の予定●

2017年 9月 子どもの貧困を考える映画会
    10月 子どもの貧困対策実践交流会

2018年 1月20日(土)午後 於:台東区民会館
    第7回 子どもの貧困対策情報交換会   
    テーマ:子供の貧困対策大綱5年後見直しに向けて、
        子どもの貧困指標を考える(仮)
    講演:阿部彩さん/首都大学東京教授 他

 2017年6月29日

 「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク 世話人会

■厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査の結果」

報道発表資料
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/15.pdf

概況全体版
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/16.pdf



2015年12月23日(水)東京都教育委員会「都立高校改革推進計画•新実施計画(案)」に対する意見を提出致しました

木曜日, 12月 24th, 2015

東京都教育委員会は、「都立高校改革推進計画・新実施計画(案)」の骨子を取りまとめ、
現在パブリックコメントを募集しています。

「東京都教育委員会ホームページ」へのリンク
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/index.html

*〆切は12月25日です。
FAX 03−5388−1727
東京都教育庁都立学校教育部高等学校教育課宛て
(郵送、FAX、電子メールで送付可)

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会は
「子どもの貧困」と深い関わりを持つ夜間定時制高校について、
以下のような「意見」をまとめ、東京都教育委員会に提出致しました。

「都立高校改革推進計画•新実施計画(案)」への意見

2015年12月23日 「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会

 東京都教育委員会は、本年11月標記「計画(案)」と、その「骨子」を明らかにし、向こう3年間の計画策定に向けて、いま広く「都民の声(パブコメ)」を求めています。
「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク(以下、NW)は、翌月に設立集会を準備していた、2010年3月、経済的な理由から高校授業料が払えず、そのために卒業出来ないという生徒が現れたことを、「卒業クライシス」と問題視し、当該自治体や世論に訴えました。その結果、社会的不公正を正そうとするメディアの動き、世論の後押しも加わって、文部科学省より一定の改善策となる「通知」を引きだすことができました。
また、同じ春、東京都では、都立定時制高校の二次試験の合格発表を終えた3月末の段階で、313人もの不合格者が生まれました。高校進学を希望しながら、その一歩を踏み出すことが出来ない若者が大量に生み出されたのです。関係者からは、それまでの多様化•少子化に対応したという「都立高校改革推進計画」のもとで、「都立高校をつぶし(再 編統廃合)過ぎた」、中でも「夜間定時制高校が半減された」ことが、問題の本質との指摘がなされました。こうした事態は、全国に共通した動きです。特に、多摩地域では、立川以西に夜間定時制高校が無くなり、不登校や様々な条件の下、「働きながら学びたい」思いや「学び直し」を求める子ども•若者の進学の道が狭まり、閉ざされたと言えます。
NWは、その後「子どもの貧困対策法」制定(2013年6月「子どもの貧困対策に関する法律」成立)を求める取り組みの中で、「学びのセーフティネット」としての夜間定時制高校の果たす役割を評価し、現場関係者や当事者の報告を得る学習会を重ねました。その中で得たのは、夜間定時制高校は、①少人数で、しかも異年齢、外国籍を含むなど、様々な人々の中で学び直す(生き直す)ことができる機会、②家の近くにあってこそ通い続けられる場、…であることです。
今日「不登校」の子どもたちは、年ごとに増加し、小中学校あわせて12万人をこえています。その背景として、国連子どもの権利委員会が、日本政府に対し再三にわたり勧告したように、管理や競争が激化する今日の学校教育のあり様があることは、否定できません。さらに「格差社会」の深まり、「子どもの貧困」それ自体が子どもたちの成長発達に不利をもたらしています。家計が逼迫し、社会的に「孤立」した状態から、「学びのセーフティネット」にすら辿りつけない子ども•若者がいる、しかも増加している。この現実を直視しなければならないように思います。子ども•若者の学習機会の保障は、彼らがこの社会に生きていていいということ(生存権)を保障する大切なものです。行政が謳い、目標とする「知識基盤社会」や「グローバルな社会」であれば尚更、これまで以上に求められるべきものです。

今回の、都教委「計画(案)」では、夜間定時制高校をさらに4校(立川、江北、小山台、雪谷)廃止するとしています。夜間部を含めた「三部制高校」や「チャレンジスクール」を新たに設けるとしていても、大規模校化が予想され、少人数で生徒と教師間の丁寧な対応から、子ども•若者の学び直し、生きる明日を見出すような学びの場となることは困難と考えます。夜間定時制高校は「学びのセーフティネット」です。さらに、「子どもの貧困対策大綱」で、全国に公立夜間中学校を設置する方向が出されたことは、夜間定時制高校の今後に大きな役割と希望を与えています。

これ以上、東京の夜間定時制高校をつぶさないでください!

https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2015/12/20151223keikaku_iken.pdf



6月30日(月)パブリックコメント/子どもの貧困対策法「大綱案に盛り込むべき事項」意見提出のご報告

月曜日, 6月 30th, 2014

 「大綱案に盛り込むべき事項(意見の整理)」に対する意見

2014年6月30日
「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会
共同代表:平湯真人、湯澤直美、三輪ほう子
TEL:070-6576-3495/E-mail: mail@end-childpoverty.jp

 

「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会は、
内閣府の実施する「子どもの貧困対策に関する検討会」意見の整理「大綱案に盛り込むべき事項」に
対する意見募集について、以下の意見を提出致しましたので、ご報告致します。

 

私たちは、各施策に共通する大綱の在り方に関して意見を述べます。

 

意見その1.子どもの貧困の改善目標の設定

本法律は、「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図る」ことを目的とするものであり、その立法の意義は誠に大きいものと思われます。
私たちは、この法律が子どもの貧困の解消に有効に機能するよう、以下のような具体的な数値目標を設定することを求めます。
(1) 2023年までに子どもの相対的貧困率を8%に半減させること。
(2) 2023年までにひとり親世帯の相対的貧困率を25%に半減させること。
(3) 2023年までに子どもの物質的剝奪率を4%に半減させること。
上記(1)と(2)の目標は、厚生労働省が2011年に発表した相対的貧困率の値をもとにしています。他方、日本では、年間所得をもとに算定される相対的貧困率では貧困の状況が的確に把握できないとの指摘があるものの、物質的剝奪の状況をとらえる指標も採用されていません。相対的貧困率と物質的剝奪状況の把握を併用することで、子どもの貧困状況を的確にとらえられるはずです。
ユニセフイノチェンティ研究所他著「先進国における子どもの幸福度――日本との比較 特別編集版」(公益財団法人 日本ユニセフ協会、2013年12月)では、「子どもの年齢と知識水準に適した本」「屋外レジャー用品(自転車やローラースケートなど)」「修学旅行や学校行事への参加費」など8品目のうち2つ以上が欠如している子どもの割合を「子どもの剝奪率」とし、国立社会保障・人口問題研究所「平成20年社会生活調査」のデータに基づいて日本の「子どもの剝奪率」を7.8%としています。当面の目標としてこれを半減させることを求めます。

意見その2.施策の検証可能性の確保

私たちは、政府に「子どもの貧困対策大綱」に記載する施策ごとに次の各事項を明記するよう求めます。
(1) 政策的に対処しようとする貧困事象について、抽象的・一般的な記述に留めるのではなく、具体的に明示すること。
(2) その貧困事象をいつまでにどのような状態になるよう改善するのかにつき、その目標像(改善目標)を明記すること。
(3) その改善のため、政府はいかなる施策を講じ、また地方公共団体にいかなる施策の実施を求めるのかを明記すること。
(4) 目標達成状況を検証し、政府の施策及びその実施状況を評価するための指標をあらかじめ明示すること。
施策を遂行し、指標をもとに各施策に対する評価・検証を踏まえて施策の改善と見直しに努めることを求めます。
また、子どもの貧困は多様な形態で広がっており、多角的な調査が求められますが、その実態把握に当たっては子どもの権利実現の立場から、正確な事実に基づくことを求めます。
たとえば、文部科学省が本年6月10日に公表した「平成26年度における就学援助実施状況調査」の結果(速報版)は、生活保護基準引き下げにともなって就学援助認定基準を引き下げ、かつ適切な措置をとらなかった市区町村は71自治体に留まったと報告しています。しかし、これは、平成25年認定基準を適用することを以って「影響が出ないように対応している」と分類した結果であり、切り下げの実態を過小評価し、子どもの貧困対策の劣化をおおいかくす可能性があると懸念されます。

意見その3.推進体制と検証について

国と地方公共団体における子どもの貧困対策の推進と検証の体制について、以下のことを求めます。
1 国における推進・検証体制
(1) 関係閣僚による「子どもの貧困対策会議」を定期的に開催すること。
(2) 有識者・当事者・支援団体等の関係者等から構成される「子どもの貧困対策審議会」を常設で設置すること。
(3) 内閣府に「子どもの貧困対策推進室」を設置し、組織的継続的な政策を推進すること。
(4) 子どもの貧困問題は領域横断的に対応を要することに鑑み、内閣府・文部科学省・厚生労働省をはじめとする「関係府省連絡会議」を機動的に開催し、適切に施策を推進すること。
(5) 内閣府・文部科学省・厚生労働省をはじめとする関係府省は、子ども・若者育成支援、社会的養護施策、ひとり親家庭支援、生活困窮者支援等、子どもの貧困対策に関連する分野とも緊密に連携し、有効な施策を講じること。
(6) 大綱に基づく施策の実施状況、目標の達成状況等を把握し、その効果等を評価するとともに、その結果を踏まえた見直しと改善に努めること。そのため、実態把握と効果測定を実施する仕組みを新たに設け、子どもの貧困対策を効果的に推進すること。
(7) 法律第7条「政府は毎年1回、子どもの貧困状況及び子どもの貧困対策の実施状況を公表しなければならない」とあるとおり、実態把握・政策効果の検証等のための「子どもの貧困白書」をWEB上で公表するほか、刊行物としても発行し、広く周知できるようにすること。
2 地方公共団体・地域における推進・検証体制
(1) 都道府県及び政令指定都市において、領域横断的な「子どもの貧困対策連絡協議会」等が組織され、子どもの貧困対策の計画づくり等が推進されるよう、国は積極的にはたらきかけるとともに、情報の提供などの支援を講じること。
(2) 都道府県のみならず市町村においても、子どもの貧困対策の担当部局等が設置されるよう、国は積極的にはたらきかけること。
(3) 地域の経済状況や少子化の実情等を踏まえ、地域の子どもの貧困の発現状況に的確に対応していくこと。
(4) 子どもの出生前(母親の妊娠期)から青少年期など社会への移行期まで、各年齢層に応じた切れ目のない支援を講じていくため、保育・教育機関、保健・医療機関、福祉機関、民間団体、企業、自治会をはじめ、地域の多様な関係者の連携・協力を確保しつつ、地域の特性に応じた実効性のある施策を推進していくこと。

意見その4.子どもの貧困問題についての学習・啓発・研修などについて

日本においては、子どもの貧困は家族の自己責任であるとの見方が根強く、いまだ子ども期に貧困にさらされる現状について、子ども・若者自身、および市民に広く理解されていません。また、子どもに関わる専門職においても十分周知されていない状況です。そのため、以下のような取り組みが必要です。
(1) 子どもの権利実現のために、子ども・若者自身が、子どもの貧困問題について学習する機会を保障すること。
(2) 国・地方自治体、企業等において啓発活動を推進すること。子どもの貧困に関する講演会や研修会の開催について、目標をもち開催状況を把握すること。
(3) 保育士等保育関係者、教師をはじめとする教職員、社会福祉士、精神保健福祉士、医師・看護師・保健師等医療関係者の養成課程において、子どもの貧困に関する教育を位置づけること。
(4) 保育士等保育関係者、教師をはじめとする教職員、社会福祉士、精神保健福祉士、医師・看護師・保健師等医療関係者ほか、子どもに関わる専門職や、自治体職員、民生委員・児童委員を対象とした研修を推進すること。



6月30日(月)迄パブリックコメント/子どもの貧困対策法「大綱案に盛り込むべき事項」意見提出の呼びかけ

木曜日, 6月 26th, 2014

6/23(月)、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク
2013年度の総会を開催いたしました。
ご参加いただいたみなさま有難うございました。

また、総会ではパブリックコメントについても議題で取り上げました。
そして、パブリックコメント期間であること以前に、
法律の存在自体を知らない人が多数であり、
SNS、ツイッターをはじめさまざまな方法で
パブリックコメントへの意見提出の呼びかけを
広めましょうということで意見が一致致しました。

○内閣府「子どもの貧困対策に関する検討会」意見の整理
「大綱案に盛り込むべき事項」に対する意見募集について
http://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/bosyu/20140620.html

パブリックコメント期間は6/30(月)までとなっております。
一人でも多くの方のご意見を届け、実効性のある大綱が作られるよう
皆さまソーシャルメディア等での拡散や各種MLへの転送などに
ご協力頂けますよう宜しくお願い申しあげます。

【twitterへの投稿文案】
【6/30(月)迄】内閣府がパブリックコメント/子どもの貧困対策法「大綱案に盛り
込むべき事項」募集中。大綱に貧困率削減の数値目標を明記することは不可欠です。
皆様もご意見をお寄せください。 #子どもの貧困 goo.gl/q3ps5l

【twitter】
https://twitter.com/ecpjp

【Facebookページ】
https://www.facebook.com/EndChildPovertyJapan

【公式ホームページ】
https://end-childpoverty.jp/

上記「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークのホームページや
ソーシャルメディアアカウントでも情報発信を行っていきますので、
皆様ぜひご活用ください。

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク 世話人会

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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

TEL 070-6576-3495(電話番号が変わりました)
E-mail mail@end-childpoverty.jp
HP https://end-childpoverty.jp
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5月18日(土)市民集会・デモ行進にご参加ください~「子どもの貧困対策法」制定を!~

木曜日, 5月 2nd, 2013

チラシPDFは下記からダウンロードできます。

5.18市民集会チラシ

5月18日(土)市民集会・デモ行進にご参加ください~「子どもの貧困対策法」制定を!~

「貧困の連鎖」に終止符を!

326万人の貧困世帯の子どもの未来に希望を!

目標1,000人5.18市民集会・デモ行進

「子どもの貧困対策法」制定を!

実効性のある「子どもの貧困対策法」が成立するか否か、今国会の会期末が迫るなか、瀬戸際です。なぜ、いまこの法律が必要なのか。6人に1人の子どもが貧困状態の日本。その割合は増え続け、放置しておけば、さらに悪化するでしょう。親の所得格差が子どもの教育格差に直結し、進学や修学の継続が困難な子どもたちが急増。おとなになっても生活困難を余儀なくされる貧困の連鎖がすでにひろがっています。

貧困率の削減・貧困問題の解決・市民参加の政策づくりの実現に向けて、私たちの声を届けましょう。

日時 5月18日(土)午前11時~12時

会場 代々木公園ケヤキ並木 NHK東側広場

 JR「原宿」・地下鉄「代々木公園」・「渋谷」下車

徒歩約10分

 

主催 「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク、あしなが育英会、遺児と母親の全国大会実行委員会

 

内容

・当事者からの訴え

・主催者からの要望

・国会議員(各党代表)のご発言 など

 

集会終了後、渋谷・表参道・原宿をデモ行進します。  解散は、代々木公園14時予定です。

 

〈お問い合わせ先〉

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

電話 080-1158-3494  E-mail  mail@end-childpoverty.jp

 

★参加をご希望の方は、事前にお申し込みください。件名に【市民集会申込み】と明記のうえ、

 ①お名前、②お立場・ご所属、をご記入のうえ、下記のアドレス宛てにお申し込みください。

mail@end-childpoverty.jp

 当日参加も可能ですが、人数の把握の必要から事前申し込みにご協力をお願いします。

 

★取材ご希望の方は、その旨と取材方法(写真撮影、テレビカメラ撮影など)をお申し添えください。

 

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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

 

 

 

TEL     080-1158-3494

 

E-mail  mail@end-childpoverty.jp

 

HP      https://end-childpoverty.jp

 

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3月29日(金)緊急院内集会・デモ行進のご報告

火曜日, 4月 30th, 2013

報告書PDF及び当日配布資料PDFはこちらからダウンロードできます。

3.29緊急院内集会・デモ行進報告

当日配布資料

3月29日(金)緊急院内集会・デモ行進のご報告

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

3.29緊急院内集会・デモ行進報告

「子どもの貧困対策法」制定を!

326万人の貧困世帯の子どもたちの未来に希望を!

貧困の連鎖に終止符を!

 

子どもの貧困率は15.7%、約326万人の子どもが貧困な生活を強いられています。とくに、ひとり親世帯の貧困率は50.8%で、OECD30か国中最下位です。私たち「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークは、喫緊の課題である子どもの貧困削減のため、「子どもの貧困対策法」(仮称)の制定が必要だと主張してきました。

この取り組みの一環として、2013年3月29日、あしなが育英会(玉井義臣会長)及び遺児と母親の全国大会(緑川冬樹実行委員長)との共催で、実効性のある「子どもの貧困対策法」制定を訴える緊急院内集会を衆議院第一議員会館大会議室で開催しました。

この集会には、北海道から九州まで、全国各地から約250人の遺児高校生・大学生、生活に困難を抱える若者、お母さん・お父さん方、支援者らが集まりました。また、集会後には日比谷公園までデモ行進をしました。

 

今回の集会とデモ行進は、国会での「子どもの貧困対策法」制定への動きを後押しし、実効性のある法律になるよう働きかけることを目的とするものです。

 私たち「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークは、2010年2月の準備会発足以来一貫して、総合的な子ども貧困対策の必要性と「子どもの貧困対策法」制定の必要性を訴えて来ました。また、あしなが育英会も、2009年12月の遺児と母親の全国大会以来、「子どもの貧困対策基本法」制定を訴えてきました。

 現在、生活保護基準の改定及び生活保護法改正・生活困窮者支援法(仮称)制定への動きに連動して、今年3月以降、与野党の議員立法で「子どもの貧困対策法」を制定しようとする動きが急展開となっています。

下村博文・文部科学大臣は、3月1日の定例記者会見で「超党派で議員立法の議論を期待し、政府で協力できることは最大限協力したい。貧困の連鎖で子どもの将来の可能性を閉ざされることがあってはならない」と発言しました。自民党の法案要綱は4月24日までに作成されたと伝えられていますが、4月26日現在その内容は明らかになっていません。他方、民主党も、3月12日に「子どもの貧困対策法案」を決定し、「今後、野党政調会長会談で提起し、野党共同提出を目指す」と発表しました。

 

私たち「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークは、この集合とデモ行進を通じて、子どもの貧困を実効的に削減・軽減できる法律の制定を与野党及び政府に訴えました。代表世話人の湯澤直美(立教大学教授)が「子どもの貧困対策法」に盛り込むべき規定を具体的に列挙したほか、世話人の中嶋哲彦(名古屋大学大学院教授)もイギリスの「子どもの貧困法」の例を紹介しつつ実効性をもたせるための要件について述べました。発言内容は別添資料をご覧ください。

また、共催団体である遺児と母親の全国大会の実行委員長緑川冬樹氏からも、貧困削減目標や貧困削減計画策定への当事者・支援者参加など「子どもの貧困対策法」に盛り込むべき事項について意見を述べました。さらに、遺児の母親として三重県在住の古賀艶子さん、震災被災地の宮城県父子の会代表の村上吉宣さん、あしなが育英会高校奨学生の京都府在住、安田香澄さん、首都圏在住の母子家庭の中学生も、自ら体験を痛切に語りました。

この集会には与野党の16人の国会議員が参加したほか、14社・団体27人の記者らが集会やデモ行進の様子を取材しました。

 

■当事者の訴え

安田香澄さん(あしなが育英会高校奨学生・京都府在住)

私は1歳のときに父親を亡くしました。お父さんの記憶はありませんが、寂しいと思うことは多々ありました。友だちの家に遊びに行ったとき。父の日に学校で似顔絵を書くとき。家に帰ったときにお母さんが仕事でお兄ちゃんしかいないとき。どうしてお父さんがいないのだろうと思わずにはいられませんでした。

 お母さんはずっと看護師として働いています。ずっと股関節をいためながらも私とお兄ちゃんのために毎日働いてくれました。でも、食費をけずったり、普段の生活で我慢しないといけないことはたくさんあります。ウインナーを細かくきざんでおなかいっぱいになるように工夫したり、もやしにいろいろな味をつけてご飯を食べたりしました。

 我慢したことはいっぱいありましたが、中学3年生のときに初めて塾に通いました。きっとお金がかかったと思いますが、そのとき初めて勉強すれば結果がついてくるということを知れました。そのまま塾に通うことがなければ、勉強の面白さを知ることはなかったと思います。おかげで、高校では進学校に通うことができました。

 もうすぐ高校2年生になります。大学は理工学系の学校に進学し自分の好きな学問を勉強していきたいです。お金の不安はありますが、前向きに、進学を目指しています。

 高校に通っていて、勉強するにはたくさんのお金が必要だと感じるようになりました。教科書代、修学旅行費、勉強合宿代など、私たちにとって決して楽な金額ではありません。それなのに、同級生ではさらにお金を払い塾に通う人がいます。正直、そんな人に勉強ではかないません。その差を私たちはどこで埋めればいいのでしょうか。

 今は多くの人の支えがあって高校で勉強をすることができています。でも、そうでない家庭もたくさんあるはずです。どうか親がいなくても家計が苦しくても勉強に集中することができるように応援してください。

 お金で勉強する機会を失うような、そんな社会にはしないでください。

母子家庭の中学生(首都圏在住)

関東から来た中学生です。私は、去年5か月間ほど児童相談所の一時保護所で過ごしていました。そこでは、貧困が問題で施設にくる幼稚園児、小学生や中学生、高校生などといった人たちがたくさんいました。いつ餓死するかわからない恐怖に震えながら施設に送られてくる子、ずっと同じ洋服を着ながら、着替えないでそのまま施設に送られてくる子ども。たくさん、いろんな事情を抱えた子どもたちが施設にいました。施設で勉強は先生たちが教えてくれますが、どうしても遅れてしまいます。一度家のほうに帰れても、また家のほうで問題が起きて、また送り返されてくる子どもも大勢いました。

私は貧困が原因ではありませんでしたが、貧困が問題で施設に送られてくる子どもたちは、とても心細い思いをしたと思います。私は、5か月近く施設にいましたが、手紙が届くまでに1か月近くかかるので、手紙の返事もなかなかもらえず、ずっと孤独で過ごしていました。幼稚園生や小学校低学年の子は、もっともっと寂しい思いをしていたと思います。家でも、親が帰って来ずに、ずっと一人で留守番していたという子もいました。施設でも、友達はできるにはできますが、個人情報の漏えいを防ぐために、自分の家の事情や、悩みごとを話してはいけないという決まりがあったので、どうしても仲良くなるのに限度がありました。とても寂しかったと思います。

私も施設にいた期間が長かったせいで、勉強がとても遅れています。受験も、推薦を受けることはできましたが、落ちてしまいました。私の他にも、受験生で施設に送られてくる子もいます。その人たちの中で、家のことが大変だから自分たちは高校に行かないでそのまま働こうという人達もいました。けれど、中卒で雇ってくれるところがなかなかなくて相談してくる人達もたくさんいました。私も相談を受けても、就職のことはよくわからないので、どうしてもその子たちの力になれませんでした。同い年の子たちが勉強ではなく、就活でとても苦労しているのに、私はその子たちの力になれなくて、自分のこともやりきれなくて、家族の支えにもなれなくて…。それでも勉強はちゃんとやって、高校へ行って、少しでも母親の力になれるようにと思って、今努力し続けています。

絶対に、こういう子どもたちを増やしてほしくないです。施設に来て勉強が遅れて、貧困のせいで何度も何度も施設に来るはめになって、心細くなって、学校にも慣れなくて、友だちもできなくて、家族とのつながりもどんどん減っていって、自分のことで手一杯になって、押しつぶされそうになって、そんな子を絶対増やしてほしくないです。

私は少しでも国がそういった子どもたちのことを理解してくれたらいいなと思っています。

 

古賀艶子さん(遺児の母親・三重県在住)

私は、平成18年のクリスマスイブに夫を病気で亡くしました。亡くなったと同時に、高額な医療費の請求に苦しみました。電気や、水道、ガス、電話などのすべてのライフラインを止められ、私と、当時15歳の娘と9歳の娘は、暗闇の中、とても怖い思いをして過ごしたこともあります。生活保護を受けようと、役所に相談しましたが、持ち家と車があるとの理由で、冷たく断られました。持ち家はローンだらけの家でした。不況で仕事もない。ずっと仕事を探し続けもう5年経ちますが、仕事が見つからず、無職です。上の娘は現在働いていますが、3か月ごとの契約社員で、大変不安定です。下の娘は四月から高校2年生になり、大学に進学したいと言っています。娘は、一生懸命勉強し、成績は学年で10位以内。そんな娘を応援したいのですが、今の暮らしでは学費が賄えません。とても悔しいです。私たちのような母子家庭の母親に、仕事を与えてください。子どもたちが夢や希望を持って学業に専念できる社会にしてください。お金持ちではなく私のような立場の視点で政治を行ってください。私たちを切り捨てないでください。

 

村上吉宣さん(震災被災地・宮城県父子の会代表、全国父子家庭支援連絡会理事)

父子家庭の抱える最大の課題は孤立です。政治から、メディアから、自治体から、支援団体から、職場から一気に隔絶されてしまうのです。震災で父子家庭になってしまったある男性は、僕に訴えてくれました。「お金がほしいわけじゃないんです。子育てをしながら働きやすい社会になっていってほしい。僕たちの経験を次世代に生かしてほしい」。涙ながらにそう訴えられていました。子どもの貧困という課題、ひとり親家庭の貧困という課題に向かい合う必要があります。しかし、そのためには従来の女性=子育て支援という目線を主にした、問題提起を意識して払拭する必要があることを政治家のみなさん、一般世論のみなさまには理解していただきたい。僕はそう考えます。父親が子育てしながら働きやすい、生きやすい社会は、女性にとっても、母子家庭にとっても生きやすい社会であると。少しだけ想像してみていただきたいのですが、もし今日、突然奥様がなくなられてしまったら、あなたは今の仕事を続けながら子育てをしていくことができますか。僕達は、3.11のあの瞬間に感じたあの危機感を忘れてはなりません。

イギリス「子ども貧困法」の研究者から

中嶋哲彦・名古屋大学大学院教授(「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク世話人)

 イギリスでは、子どもの貧困の実態を黙ってはいられないと、「子ども貧困法」を制定しました。この法律では、10年間で達成すべき貧困の削減目標を定め、その達成に向けて政府が貧困根絶戦略を政策定し、その達成に責任を負うという仕組みを定めました。このため、毎年状況を調べて、貧困対策が適切に行われていなければ、それを改善しながら、先へ進んでいくことになっています。

 日本にも、このような法律が必要です。子どもの貧困を減らすためには、「私たちができることをできる範囲でする」という理念じゃだめなんです。目標をはっきり決めて、その目標を達成するには何をしなければならないのかということを明確にする。そのためには、貧困をどこまで減らすのか、例えばこの10年間で何%まで減らすというように法律で決めていただきたい。その上で、それを実現するための方策を、政府はもちろん、貧困の当事者や支援者も加わって決めることが必要です。国民に政府としての対応や、国会としての覚悟をしっかりと示していただきたい。それが多くの国民に希望を与えると思います。そうすることで、自分もそのために努力しないといけない、協力しようという国民が現れてくると思います。

 子どもや若者に人生をあきらめさせない社会をつくっていただきたい。私たち自身がそういった社会をつくるために力を尽くしたいと思います。そのためには何が必要なのか。貧困削減計画の2つの課題です。ひとつは、低所得、所得格差の是正です。また、不安定な雇用の改善です。二つめは、今ある貧困に対して、適切な対策を講ずることです。どういうニーズがあるのかを把握し、それに応ずるための社会福祉などの政策をきめ細かく行なっていくことが課題だと思います。それを実現するためには、貧困当事者の意見を聴くことをしていただきたいと思います。

 

 

■主催者要望

緑川冬樹・遺児と母親の全国大会実行委員長(神田外語大3年・あしなが育英会大学奨学生)

あしなが育英会の大学奨学生は、2009年12月の「遺児と母親の全国大会」から毎年、「子どもの貧困対策基本法」の制定を訴えてきました。育英会調査では、遺児母子家庭の母親の平均勤労年収が1998年に200万円を超えていましたが、2010年には113万円に激減しています。一方で就学援助を受けている生活保護世帯と準生活保護世帯の全国の小中学生数は、1998年の83万人から2010年には155万人に激増しています(文部科学省調査)=グラフ。さらに2008年の「リーマンショック」、そして2011年の東日本大震災が追い打ちをかけ、遺児家庭をはじめとする貧困世帯の生活は、崖っぷちのピンチが続いています。

子どもの貧困率を下げ、この状況を打破するには、貧困の中でも社会のご支援で大学進学ができた私たちあしながの学生が立ち上がり、すべての貧困世帯の子どもたちのために訴えなければならない!そういった想いで毎年「子どもの貧困対策基本法」制定を呼びかけてきました。

そして今、「子どもの貧困対策法」制定に向け、与野党で議員立法による法制化の動きが本格化しました。しかし、子どもの貧困解決に結びつかない法律では意味がありません。①子どもの貧困率の削減に関する数値目標を設ける、②大学・専門学校などに就学中の者までを対象とする、③当事者である貧困家庭やその支援者・団体が子どもの貧困対策計画に参画できるようにする、④法律の3年ごとの見直し規定を明記する、ことを盛り込んでください。「2013年が『子どもの貧困』のターニング・ポイントになった」と後に言われるように、今年を「子どもの貧困対策」元年にしてください。子どもの貧困が連鎖し、拡大していくことを望む人はいないと思います。すべての子どもたちが未来に希望がもてる社会を実現するために、中身のある「子どもの貧困対策法」を今国会で制定してください。

 

 

湯澤直美・立教大学教授(「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク共同代表)

子どもの貧困対策法の今国会での成立を切望します。法律の必要性は、子どもの貧困率の悪化からも明らかです。1980年代半ば当時から、すでに10人に1人の子どもは貧困線未満という生活であり貧困問題は深刻だったわけですが、今では6~7人に1人という状況に悪化しています。この間、「自分が生きているだけでお金がかかる」という言葉を何人もの若者が発しているのを聞きました。若者にこんな言葉を言わせ、自分を責めさせるような社会。それが日本の現実です。実効性のある対策法を制定することは、一刻の猶予もないと考えています。①貧困の連鎖をくいとめるという根本的な問題解決のために、②貧困に陥ることを予防するちからをもつ地域社会を育てていくために、③何よりもすべての子どもの全面的な発達と潜在能力の実現のために、実効性のある子どもの貧困対策法が必要です。

私たちの要望は、①削減目標の明記です。「削減目標の明記/削減のための計画の立案と施策の評価、/それらの報告義務」は、セットとして必要なものです。イギリスばかりではなく、欧州理事会による「欧州2020」という戦略の中でも貧困問題の数値目標は設定されており、国際社会においつくよう取り組んでいただきたい。②政府・地方自治体の施策の実施義務の明記です。政治が変動する中で、一貫した政策が担保されずに、子育て家庭を安定的に支える状況がなくなってきています。また、地方自治体の施策の格差、これは就学援助制度でも明白ですが、一刻も早く改善しなくてはなりません。③大綱の設定と、子どもの貧困総合対策会議の設置を当事者参画でぜひお願いします。子どもの貧困という実態は、理解されにくく眼に見えないものです。当事者の声を聴くことなしに、この計画を進めることはできません。④実態の把握を省庁横断的に進めていただきたいと考えております。保育、教育、医療、福祉、住宅などあらゆる政策に貧困問題解決の視点を導入し、当事者の実態把握をもとに計画を立案してください。⑤法律の定期的な見直しができるという規定を入れてください。

 

 ■各政党代表国会議員のご発言

自由民主党 薗浦健太郎・国会対策副委員長

大変に重たく痛切なお話をうかがいました。わが党も、下村大臣はじめ、子どもの貧困対策法を本国会で提出すべく準備をしています。公明党、法制局との協議も進めています。

環境による教育の機会が奪われることは、あってはならないことです。機会は平等でないといけません。子どもに責任はありません。国が実効性のある政策でそれを支援していかなければならないと思っております。これは、どこの省庁がやると言うのではなく、政党や省庁の垣根を越えて、国として取り組んでいくんだということを、法案に明記したいと思います。当然、実効性を担保しなければならないので、国に責務を負わせ、貧困対策の大綱を書きなさいということを法案に書こうと思います。その中でいろんな施策を盛り込んでいきたいと思っています。気運が高まっている今は、極めて大きなチャンスです。今日はすべての政党の先生方がいらっしゃっているわけですから、与野党関係なく、ご理解をいただきながら、本国会で法案を提出し、成立に向けて私も努力します。

公明党 古屋範子・政務調査会副会長

あしなが育英会を始め、みなさまがたの活動に心から敬意を表します。私たちも、学びたい方々に学ぶ機会をと、前の連立政権のときから、奨学金の拡充を進めてきました。また、給付型奨学金の新設も強く主張しています。生活困窮者対策の立法化、その財源の確保にも奔走しています。また一方で、高校進学できない、高校中退してしまう、そのために就職の際に大変なご苦労をされてしまうなど、生活困難を抱えた家庭のお子さまへの学習支援、塾にいったことがないという方々への教育支援をしっかりと行なっていきます。そして親たちへの就労支援、また住宅支援なども法律に盛り込み、また財源も確保して、進めてまいりたいと、決意した次第です。

自公連立政権の一角として、これから私たちも全力を上げ、子どもの貧困対策法制定に向け、尽力していきます。

民主党 山井和則・厚生労働部会座長

全国で貧困によって、自分の夢を進学を諦めようか、そう悩んでおられるお子さんたちは非常に多いと思います。その99.9%の方々が、この集会に来ることはできません。しかし、今日全国からお集まりになっている皆さんが、貧困に苦しんでいる子どもたち、お父さんお母さんの声を代弁してくださっているのだと、非常に重く受けとめています。

野党も全力で頑張ります。与野党垣根なしで、なんとしても今国会で成立させていきたい。下村文部科学大臣は、あしなが出身です。下村先生が大臣のときにこの法律が成立できなければ永遠にできないのではないかと思っています。この重要な法律を、この日本国に、この国会中に成立させるのかどうかということが、私たち国会議員全員の肩にかかっています。子どもの貧困は、子どもの自己責任では絶対にありません。そういった子どもを支えるために、国会はあります。

日本維新の会 鈴木望・文部科学担当主査

党の中で、私がこの立場に立たせていただき、運命的なものを感じ、一生懸命頑張って行きたいと決意を新たにしております。私の祖父は、事故で亡くなりました。父が奨学生のときに亡くなったので、父は非常に苦労を、それ以上の苦労を祖母はしました。そして父が大学生の頃に、祖母は過労で死んでしまいました。父親が祖母のことを話すときは、いつも涙ながらに話をしておりました。本当にお母さま方は、苦労をされているのと思います。そういうご苦労にもきちんと報えるように、与えられた職責をきちんと果たせるように日本維新の会として頑張ってまいります。

みんなの党 川田龍平・政策調査会副会長

超党派で議員立法を進めていくというのは、本当にいいことです。貧困率を公表したことは民主党政権の成果です。子どもの貧困率を掲げ、少なくしていくことは、政府をあげて取り組んでいかなくてはいけない。ぜひ与党の協力も得ながら、この法律を超党派で成立させるということが大事です。私自身も母子家庭であった時期がありますし、子どもの貧困問題を、ぜひとも解決するべく、全力で頑張って行きます。

私の妻は、『貧困大国アメリカ』(岩波新書)を書きました。アメリカの貧困問題の行末が日本の行末に重なるものがあります。この問題に全力で取り組んでいくとお約束します。

日本共産党 宮本岳志・文部科学部会長

日本には憲法も教育基本法もあり、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有し、教育の機会均等、すべての子どもたちが学ぶ権利を保障されなければなりません。ところが現状は、程遠いものです。ぜひともこの法律を実現させて、貧困対策を省庁横断的に進めたい。貧困率削減の数値目標を決め、アクションプランを決めて具体的に進めること、そしてその対策会議には当事者のみなさんに入っていただくこと、この点をしっかりと各党で詰めて、実現のために頑張ってまいります。

社会民主党 福島みずほ・党首

今国会で全力で子どもの貧困対策基本法を成立させます。貧困根絶のための数値目標とプログラムをつける。子どもの定義は20歳まで。大学へ行く人も多いですし、20歳までの支援をしっかりと盛り込む。それから、見直し規定を設けるということなど、実現していきます。親の財布の大きさが子どもの未来を変えてしまうということを、政治の場面で変えて行きたいと思います。

【緊急院内集会にご出席いただいた16人の国会議員の方々(敬称略)】

自由民主党 薗浦健太郎、金子恵美

公明党 古屋範子

民主党 山井和則、長妻昭、菊田真紀子、郡和子、那谷屋正義、斎藤嘉隆

日本維新の会 鈴木望

みんなの党 川田龍平

日本共産党 宮本岳志、田村智子

生活の党 佐藤公治

社会民主党 福島みずほ、吉田忠智

 

院内集会とデモに参加して

岸野秀昭(大学4年生)

初めてのデモ参加にもかかわらず先頭に立って呼びかけたことは使命感を強く感じ、非常にいい経験でした。

今回の参加で得たことは大きく3つありました。あしながの学生たちの活気、私たちの関わり方についての再確認また、来年度へのモチベーションです。

まずあしながの若者たちの活気には圧倒されました。あれだけの人数が一同に集まるのは圧巻でした。

CYCLEでもより多くの学生を巻き込みたいです。

それと同時に、「子どもの貧困」への関わり方の多様性も確認できました。若者たちは、現実を多くの人に知ってもらい政治や法律・制度に影響を与えようと活動されているかと思います。

対照的に自分たちはただ目の前の子どもを支援するという立場です。

私の立場としては、確かにあまりいい法律・制度ではないかもしれないですが、それにも助けられ、成長してきたということも認めたいと思っています。だから上を動かすより、まず自分が目の前に向かって動かないと気が済まないのです。しかしながら、昨今のように法律の改悪ともいえる事態や、その罪滅ぼしに形だけの法律ができるかもしれないことに危機感を覚え、何とかしなくてはと思い、動いています。

しかし直接支援がある以上、関わりの深さには限界があります。それらを総合的に考え、「学びサポート」と「政策提言」という両輪またそれらに根拠を与える「調査」が噛み合うことの大切さを再確認しました。

この3つの有機的な関係をカバーしているネットワークの活動の意義も体感できました。

一連の問題で「学びサポート」で関わり始めながら「政策提言」にもお力添えできて、非常にいい経験になりました。どのような方法かはまだ分かりませんが、後輩にもつなぎたいバトンです。

 

最後に、今回の規模を目の当たりにし初めてネットワーク会議に参加させていただいた時の感覚を思い出しました。たしか、スーツで伺ったかとおもいますが、当事者としてなんとなくの全体像しか見えていないながら、「こんなに多くの方が、自分が抱えてきた問題について立ち向かっているのか」と素直に驚いたのです。同時に自分にもできることがないかを考え始めていました。ちょうどそんな感覚を思い出し、来年度以降も、まだやることは多いなと感じました。

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 「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会

代表電話080(1158)3494  E-mail: mail@end-childpoverty.jp

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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

 

TEL     080-1158-3494

E-mail  mail@end-childpoverty.jp

HP      https://end-childpoverty.jp

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【要望賛同のお願い】「子どもの貧困対策法」制定に関する要望をとりまとめました

火曜日, 3月 26th, 2013

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会は、

現在、議員立法により今国会での法律制定を目指すと報道されている

「子どもの貧困対策法」について、要望をとりまとめました。

法律制定にあたっては、子どもの貧困解決の実現に実効性あるものに

することが必須であり、必要な施策の体系的かつ恒常的な実施を

確保することが重要です。要望書は各政党に提出致しましたが、

市民の意見を反映させられるよう、さらに声をあげていく必要があります。

 

●「子どもの貧困対策法」制定に関する要望

https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2013/03/20130306taisakuhou_youbousyo.pdf

 

この要望への賛同(個人・団体)を募集致します。

要望にご賛同頂ける方は、賛同フォームまたはメールにてご賛同をお願い致します。

※賛同のメッセージもぜひお願いいたします。

 

①フォームからのご賛同

<個人賛同フォーム>

https://ws.formzu.net/fgen/S46015231/

<団体賛同フォーム>

https://ws.formzu.net/fgen/S25584793/

 

②メールでのご賛同

件名に【要望賛同】と明記のうえ、

<個人の場合>

①お名前

②肩書き・お立場

③ご連絡先(メールアドレス、電話等)※任意

④賛同メッセージ ※任意

<団体の場合>

①団体名

②団体のご連絡先

③賛同メッセージ ※任意

をご記入のうえ、下記のアドレス宛てにお送りください。

mail@end-childpoverty.jp

第一次集約 3月10日(日)中

第二次集約 3月14日(木) 昼

第三次集約 3月28日(木)

第四次集約 5月17日(金)

 

※公表について

ご賛同いただいた個人のお名前・肩書き/お立場・メッセージ、団体の団体名・メッセージは、

要望先への提出のほか、本ネットワークのホームページ・印刷物等に掲載させていただき、

今後の取り組みに活用させていただきます。

その際、連絡先は掲載いたしませんので、ご了解くださいませ。

個人のかたでホームページ・印刷物等への掲載をご希望でない場合は、

「公表不可」とご記入ください。

 

一人でも多くの方からご賛同を頂けますよう 皆さまお知り合いや各種MLへの転送、 ソーシャルメディア等での拡散にご協力をお願い致します。

以上、宜しくお願い致します。

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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

 

TEL     080-1158-3494

E-mail  mail@end-childpoverty.jp

HP      https://end-childpoverty.jp

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