「就学援助に関する調査」調査結果のご報告(第一次報告)

金曜日, 10月 26th, 2012

2012年10月26日

「就学援助に関する調査」調査結果のご報告(第一次報告)

 

当ネットワーク調査チームでは昨年から就学援助に関する実態調査に取り組んできました。

このたび調査結果の集計がまとまりましたので、ご報告いたします。

 

この調査は各自治体における就学援助の運用や内容の実態を調査することを通して、

経済的に困難を抱える子どもと家庭にとって、より利用しやすい就学援助の制度を

提言することを目的として始めたものです。

調査は2期に分け、第1期は昨年末から今年の初めにかけて 応募いただいた協力者の方が

お住まいの自治体を訪問して調査する形をとりました。 その結果49自治体の回答が

集まりました。 ご協力いただいたみなさまには本当にありがとうございました。

その後第2期の調査では、抽出した300の自治体に調査票を送付し 今年3月を締切として

郵送調査を実施しました。 その結果151自治体から回答をいただきました。

お忙しい中をご回答いただいたみなさまには心よりお礼申し上げます。

回答集約後に、調査チームに集まっていただいたみなさまと共に検討をしてまいりました。

今回は単純集計した調査結果をご報告いたします。 こののち、さらに調査結果を分析して、

より詳しい傾向の把握をしたいと考えております。 その結果はあらためましてご報告をさせて

いただきます。 この調査結果が各自治体の就学援助の改善に結びつくように願っております。

 

当ネットワークでは今後とも引き続き、就学援助制度の充実/拡充に向けて関係団体と

連携した取り組みを継続する所存です。

 

なお、2012年10月27日(土)に行われます「就学援助 学びあいの会」で、

簡単に今回の調査結果についてご報告させていただく予定です。

みなさま、奮ってご参加ください。

 

●『就学援助に関する調査』集計結果 第一次報告は以下からダウンロードできます。

https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2012/10/201210syuugakuennjo_tyousa_1st.pdf

 

調査チーム担当:湯澤直美、山野良一、川松亮

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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

 

TEL     080-1158-3494

E-mail  mail@end-childpoverty.jp

HP      https://end-childpoverty.jp

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学びサポート実態調査報告書を公表いたしました

土曜日, 9月 29th, 2012

本報告書は、「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークが実施した「学びサポート実態調査」(2011年9月~2012年3月)についてまとめたものです。

 学びサポートとは、ここ数年、全国的に急速な広がりを見せている低所得世帯の子どもたちへの学習支援のことです。実施主体は、行政から個人まで実にさまざまです。なくそう!子どもの貧困全国ネットワークでは、学びサポートについて、次のように定義しています。

  学びサポートとは、経済的に困難な家庭の子どもたちに、無料または低額で、学校教育外で取り組まれる非営利の学習支援のことです。

 

2011年7月の厚生労働省発表(国民生活基礎調査)によると、子どもの相対的貧困率は、前回調査(2006年当時)より1.5ポイント悪化し、15.7%に上ることが明らかになりました(2009年当時)。これは、国民生活基礎調査の初年度である1986年(1985年データ)以降、最悪の数字です。

厚生労働省は、2012年度予算案の概要のなかで、「子どもの貧困対策の充実」として、「生活保護世帯の子どもやその親への養育相談・学習支援を実施することにより、…『貧困の連鎖』の防止を図る」ことを掲げています。一方、学生や若い世代を含む市民の立場からも、高校進学支援にとどまらない多様な取り組みが始まっています。

 私たちネットワークは、歴史ある取り組みに学び、また緒に就いたばかりの学びサポートの現場実践をとらえ交流すること、さらに全国的なネットワークづくりを進めることによって、困難な暮らしを強いられている子ども・若者たちが希望をもてるよう支援を届け、現在の諸制度を改善していくことに努めてまいります。

 本報告書が、子どもに関わる多くのみなさまにご活用いただければ幸いです。

2012年3月

 「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク

共同代表: 湯澤直美、平湯真人、三輪ほう子

★「学びサポート実態調査」は、独立行政法人 福祉医療機構 社会福祉振興助成事業により、助成を受けています。

「学びサポート実態調査報告書」はこちらからダウンロードできます

https://end-childpoverty.jp/wp-content/uploads/2012/09/manabisupport_houkokusyo.pdf



7月15日(日)第1回子どもの貧困セミナーを開催致しました

金曜日, 8月 17th, 2012

2012年7月15日(日)に2012年度子どもの貧困を考える連続セミナーの

第一回セミナーを開催致しましたので、ご報告致します。

 

2012年度 子どもの貧困を考える連続セミナー 第一回

「こどもの里の実践に学ぶ――「大阪市子どもの家事業」廃止案を問う」記録 

 

1.日時 2012年7月15日(日)14時からから17時

2.場所 立教大学

3.講師 荘保共子さん ・大阪こどもの里館長

4.参加人数  約60人

 

セミナー記録

荘保さんは大学卒業後、釜ヶ崎の「土曜学校」(西成市民館で子どもたちの勉強をみる取組)で出会った子どもたちの目の輝きにびっくりして、釜ヶ崎の保育所で働くようになった。

1977(昭和52)年、荘保さんは釜ヶ崎で「子どもの広場」という事業を始めた。当時釜ヶ崎には、6000人ぐらいの子どもたちがいたが、子どもの遊び場が釜ヶ崎にはなかった。学童保育事業(留守家庭事業、小1から小3まで)であれば、補助金を得られるということで、学童保育という形で始めた。学童保育は、大阪で始まった事業であった。

1989(平成元)年、大阪市は「子どもの家事業」を独自に始めることになる。「子どもの家事業」は、留守家庭だけでなく、すべての子どもを対象とする事業であり、子どもたちや家族には費用が掛からないものであった。荘保さんが運営する「こどもの里」は、1996年に学童保育から「子どもの家事業」に移行した。

現在、「子どもの家事業」は、大阪市から人件費および物件費を補助されている。現在約350万円の人件費および約130万円の物件費(合計480万円)が補助されている。2012年現在、大阪市16区に28か所が設置され、運営されている。

橋下市長は、「子どもの家事業」を学童保育事業と統合し、留守家庭児童対策事業に一本化させたいとしている。学童保育事業は、運営費(人件費および物件費あわせて)として250万円ぐらいの補助でしかない。

また、学童保育事業は、月に利用料として保護者が、現在2万円の利用料(大阪市は周辺自治体と比べてかなり高い)を払わなければならない。

もちろん、運営にかかる経費が減らされることも問題だが、今回の橋下市長の案において、さらに問題なのは、子どもの権利であるとか、子どもの発達という視点が欠けていることである。

つまり、学童保育事業は、親が申し込まないといけないし、親が費用を負担しなければならない。ところが、釜ヶ崎という貧困地域の子どもたちの生活を見ていると、そうした条件に合わない子どもたちがかなり存在することが分かる。

ひとつには、「子どもの家事業」を利用している子どもの中には、家から少し距離を置く場所としてここを利用している子どもがいる。家庭の様子も分からない子どもも受け入れている。親の申し込みを待っているとそうした一番にしんどい子どもを助けることができない。橋下案では、結局そうした子どもを切り捨ててしまうことになる。

また、橋下市長は、親の責任を強調する。バウチャー制度などを使って、親がきちんと子育てするべきだという価値観が強い人物である。

ところが、釜ヶ崎の保護者たちの様子を見ていると、子どもにお金を回せる余裕がない親たちが多いことが分かる。また、子どもの養育が十分にできないのは、親自身の責任でもないことが分かる。例えば、覚せい剤に依存している母親の多くが、かつて性的虐待を受けていたなどの点も、これまで見えてきた。

橋下市長の政策の壁を崩すことは難しいと思っている。そこで、方針を変えることも考えている。現在、こどもの里を利用している99人の子どものうち40人が学童保育事業を利用できると考えている。そこで、残りの50-60人をどうするのかを新しく提案していこうと思っている。国の地域子育て拠点事業などを使うことでやれないかとも思っている。

■記録・まとめ=世話人会

 

DVD『「ホームレス」と出会う子どもたち』(製作:ホームレス問題の授業づくり全国ネット)で、「こども夜周り」に参加する子どもたちが集う「こどもの里」。様々な困難を抱える子どもたち自身が、ホームレスの人たちに「おっちゃん、なんで外で寝なあかんの?」「お身体はどうですかぁ」…声をかけて回る姿を見ながら、その活動の中心にいる館長:荘保共子さんのことが気にかかっていました。「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの設立集会にも、東京までかけつけてくださっています。今回のお話から、「子どもの家事業」と、そのひとつ「こどもの里」の全体像、何より釜ヶ崎という街で、その地域づくりの中心を担っている荘保さんのパワーに酔いしれる学習会となりました。広島、大阪、静岡、…全国各地からの参加が得られたことも記しておきます。ありがとうございました。

*参照:生田武志『おっちゃん、なんで外で寝なあかんの?こども夜回りと「ホームレス」の人たち』あかね書房/2012

■補足=セミナー担当世話人:綿貫

 



5月10日(木)ネットワーク会議のご報告

木曜日, 5月 24th, 2012

5月10日(木)に開催致しました

ネットワーク会議のご報告をさせて頂きます。

 

<開催概要>

日時:5月10日(木)19時から21時

場所:立教大学12号館地下第3・4会議室

参加人数:25人

 

<主な内容>

①ミニレクチャー

「ひの・子ども支援塾の活動について」

HINO飛ぶ教室 滝口仁さん

②若者からの発信と交流

法政大学1年 岩井佑樹さんから発言

参加高校生・大学生と交流

③グループトーク

3グループに分かれて、2012年度にネットワークでやってみたいこと、

子どもの貧困に関して現在課題だと感じていることなど、自由に交流し、

各人が模造紙にポストイットで記しました。

グループトーク後にそれぞれのグループで話された内容を発表しました。

④参加者から情報提供、催しの案内

 

⑤ネットワークの今後の主な予定

■『大震災と子どもの貧困白書』出版記念 学びあいの会【要事前申し込み】

6月17日(日)16:00~18:00

立教大学池袋キャンパス12号館地下第3・4会議室にて/定員60人

 

話題提供(お話とDVD):濱ゆりさん(岩手県公立小学校養護教諭)

参加者からの質疑、意見交換・交流

 

★事前申し込みが必要です。

参加ご希望の方は、件名に「出版記念学びあいの会申し込み」と明記のうえ、

①お名前、②お立場・ご所属、③お住まいの都道府県、④電話番号を

ご記入のうえ、下記の代表メール宛てにお申し込みください。

mail@end-childpoverty.jp

 

■「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク2012年総会

6月17日(日)18:20~20:00

立教大学池袋キャンパス12号館地下第3・4会議室にて

★どなたでも参加できます。直接会場にいらしてください。

 

■『子どもの貧困を考える連続セミナー』を開催します!

当ネットワークでは、あらためて「子どもの貧困」の問題を

みなさんと深め合うために連続セミナーを計画しています。

 

☆第1回は7月15日(日)14時から17時

大阪市の「子どもの家」事業廃止の問題に関して

大阪市西成「子どもの里」指導員 荘保共子さんにお話しいただきます。

☆以後、第2回9月6日、第3回11月7日、第4回12月22日、第5回1月の予定で、

さまざまなテーマでのセミナーを行います。是非ご参加ください。

 

■9月29~30日 第2回学びサポート・暮らしサポート全国実践交流会in京都

を開催します。

 

以上ご報告させて頂きます。

 

共同代表/平湯・湯澤・三輪

 

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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

 

TEL     080-1158-3494

E-mail  mail@end-childpoverty.jp

HP      https://end-childpoverty.jp

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2月23日(木)ネットワーク会議のご報告

月曜日, 5月 21st, 2012

2月23日(木)に開催致しました

ネットワーク会議のご報告をさせて頂きます。

 

<開催概要>

時間:2012/2/23(木)19:00~21:00

場所:立教大学池袋キャンパス

5号館 第1会議室(1階)

参加:29名(高校生、OB、学生さんなどの参加が増えてきました)

 

<主な討議内容>

1)ミニレク「東京都の夜間中学校問題」について

元・夜間中学教師で現在は自主勉強会「えんぴつの会」を運営されている

見城慶和さんにお越しいただき、東京都の夜間中学校「日本語学級設置要綱」

問題についてミニレクを行って頂きました。

※「日本語学級設置要綱」問題について、

詳しくはこちらのブログをご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/yachu-kyoiku/

 

また、ネットワーク会議後、見城さんから以下のご感想を頂きましたので

ご紹介させて頂きます。

 

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昨晩のネットワーク会議では、夜間中学校の日本語学級を守る緊急の訴えに

貴重なお時間をさいていただきましてありがとうございました。

年度末の この時期をねらったように、都教委から通達された「公立小・中

学校日本語学級設置要綱の改正」は、様々な困難をかかえて夜間中学校の日本

語学級で学ぶ生徒達の学習期間を1年に限定しています。「特別な事情がある

場合を除く」という例外規定はありますが、特別な事情の中身ははっきりして

いません。日本語学級で学ぶほとんどの生徒が、特別な事情を抱えた学習困難な

人たちなので、この改正要綱は全く実情を無視したものと言わざるを得ません。

昨晩は私の不十分な訴えにもかかわらず、ご出席の皆様が熱く受け止めて下さり

署名集めや要請はがきへのご協力、また会場での署名や励ましのカンパまで頂き、

本当に感謝でいっぱいです。これを力にして夜間中校の学びの灯を守り続けてい

きますので、これからもお力添えをよろしく御願いいたします。 見城 慶和

 

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2)就学援助調査について

皆様のご協力のおかげで、30~40自治体から調査結果を回収できました。

また、未実施自治体から候補を選定し、約300自治体に郵送でアンケート調査票

を発送しました。

 

3)2012年度活動計画について

第1回学びサポート全国実践交流会のまとめを行っています。

また、第2回学びサポート全国実践交流会の開催を企画しています。

2012年9月の土曜日、場所は京都。

今回は学びサポートに加え、暮らしサポート(居場所づくりや生活支援)の

意義も考えてていきたい。

 

4)出版案内

「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク編の書籍が刊行されます。

「大震災と子どもの貧困白書」3月上旬。

「元気が出る就学援助の本」(全国学校事務職員制度研究会と共編)3月末。

追って、詳報いたします。

 

5)その他みなさんとの情報交換

・給付制奨学金の実現に向けて。反貧困全国キャラバン2012。

・高校無償化に関する3党合意をめぐる新たな動き。

・イベント告知

・2月24(金)18時~

都教組杉並支部教育のつどい「かすかな光へ」上映と森監督のお話

(杉並区立産業商工会館)

・2月26(日)10時~

CYCLE 第1回 学習支援教室お悩み相談会(児童デイサービスもちの木)

・3月9日(金)18時半~

子どもを貧困と格差から守る連絡会議 つなぎつながるつなげる学校と地域

報告:綿貫公平さん(東京労働会館)

・3月11日(日)10時半~

日高教 新たな高校教育政策フォーラム(明治大学)

・3月22日(木)18時半~

私たちからの提言~震災後のあるべき社会とは~

(淀橋教会インマヌエル礼拝堂)

・5月20(日)午後~

全進研春季集会2012「いま学校は…、いま先生は…(仮)」(会場未定)

・8月3(金)~5日(日)

第50回全国進路指導研究大会 生きる・学ぶ・働く

清水康之さん、河添誠さん、平塚眞樹さん登壇予定(東京経済大学)

8月3日午後 尾木直樹氏記念講演あり

 

<次回ネットワーク会議について>

3月22日(木)19:00~21:00

※議題、会場については決まりしだいご案内致します。

 

以上ご報告させて頂きます。

 

共同代表/平湯・湯澤・三輪

 

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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク

 

TEL     080-1158-3494

E-mail  mail@end-childpoverty.jp

HP      https://end-childpoverty.jp

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8月8日(月)高校授業料無償化の存続を求める緊急要望書を提出致しました

火曜日, 8月 9th, 2011

皆さまもニュースなどでご存じのとおり、
民主・自民・公明の3党が特例公債法案を成立させるために
「子ども手当」の廃止(児童手当復活)を決めたうえ、
さらに「高校授業料無償化」の見直し・撤回までも含めた協議を
本日午後に3党幹事長会談で行うとの報道がありました。

私達ネットワークは、子ども・若者が置かれている厳しい生活状況を憂慮し、
子ども・若者が将来への希望をはぐくみ、夢を諦めずに笑顔で生きていくことが
できるよう、活動を続けております。上記のような教育費の負担増により、
経済的理由で進学を諦める子ども・若者を増やしてしまうような事態だけは
避けるべく、急きょ、高校授業料無償化の存続と更なる充実について
各党に対して要望を行うことと致しました。

以下、緊急要望書の内容となります。

2011年8月8日
各政党党首・議員各位

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク
共同代表:湯澤直美・平湯真人・三輪ほう子

~高校授業料無償化の存続と充実に関する緊急要望書~

本日(2011年8月8日)、特例公債法案成立の前提として、高校授業料無償化など
3つの制度の見直し・撤回について協議がなされると報道されております。
私どもは、日本における子ども・若者が置かれている厳しい生活状況を憂慮し、
子ども・若者が将来への希望をはぐくみ、夢を諦めずに笑顔で生きていくことが
できるよう、活動を続けております。以下のような現状を鑑み、
高校授業料無償化(現:公立高校授業料不徴収・高等学校等就学支援金)の存続と
学校教育費を含む教育費の実質無償化に向けた更なる充実について
緊急に要望いたします。

(1)高校授業料無償化は、「ばらまき」政策ではありません。
⇒すべての子どもに、教育の機会均等による教育を受ける権利を保障することは、
子どもの権利保障の根幹です。
日本の教育への公的支出の低さは、国際的にみても顕著です。
国際的水準をふまえれば、この制度への所得制限の導入等は論外であり、
公立・私立ともに更なる充実・拡充が必要です。

(2)制度導入の成果がみられるとともに、依然として厳しい状況にある生徒が
多くいます。
⇒本制度導入後、高校を経済的理由で中退する生徒数が減少しています。
2011年8月4日に公表された文部科学省「生徒児童の問題行等動調査」結果に
おいて、前回調査より1.0ポイント減少。

⇒しかしなお、経済的理由により高校を中退した生徒は1,700人、経済的理由により
長期に欠席している生徒は2,22人、把握されています(2010年度)。
貧困の再生産のリスクを放置することは、日本社会にも甚大な影響をもたらし
ます。
※ただし、この調査では「おもな理由」をひとつだけ選択する方式であるため、
実際の経済的理由による中退数はより多いと推察される。
※東日本大震災により調査が困難な岩手県、宮城県、福島県は含んでいない数値
である。

(3)東日本大震災および原発事故により、進学を諦めざるをえない状況に
置かれている子ども・若者がいます。
⇒被災地の子どもたち、避難を余儀なくされている子どもたちにとって、
高校授業料無償化は命綱でもあります。

【要望事項】
『高校授業料無償化を存続させるとともに更なる充実を図り、すべての子どもが
「教育を受ける権利」を保障してください。』



6月19日(日)「震災と子どもの貧困を考える」シンポジウムを開催致しました

土曜日, 7月 9th, 2011

6月19日(日)に開催致しましたシンポジウム
震災と子どもの貧困を考える「子どもの貧困対策法(仮)」に向けて
について、次のとおりご報告いたします。

 共同代表:湯澤直美・平湯真人・山野良一・三輪ほう子

アピール文

シンポジウムの開催に際し、本ネットワークの世話人会で協議し
共同代表名でアピール文を作成致しました。

シンポジウム報告

6月19日(日)、司法書士会館にて、
「震災と子どもの貧困を考える―『子どもの貧困対策法(仮)』にむけて」
を開催しました。多くのボランティアのみなさんのご協力のもと、
約120名の参加があり、盛況に実施することができました。
マスコミ関係の皆様の取材も多く、当日のNHKニュースでも取り上げられ
ました。

第1部では、
①全国父子家庭支援連絡会(以下、全父子連)代表理事の片山知行さんと
全父子連理事であり宮城父子の会代表の村上吉宣さん、
②特定非営利活動法人チャイルドラインみやぎ代表理事、
災害子ども支援ネットワークみやぎ代表世話人の小林純子さん、
③宮城県柴田農林高等学校教諭、宮城県高等学校・障害児学校教職員組合
執行委員長の高橋正行さん、④全国里親会調査員の竹中勝美さん、
⑤セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン緊急支援プログラムマネージャーの
津田知子さんによるリレートークが行われました。

第1部リレートーク:震災と子どもの貧困

限られた報告時間にもかかわらず、それぞれに依拠している立場から、
東日本大震災が子ども・保護者、教育現場等の諸機関、地域社会などに与えた
影響とを踏まえ、震災と子どもの貧困をつなぐ視点が語られました。

主な論点としては、
・災害が起きたことによって、従来の子どもにもたらされていた貧困状況が
あぶり出されている。震災当初は「生死」が一番の問題となっていたが、
今は、特に生活再建のなかで格差の問題が浮上してきている。
・学校現場や行政施策が、震災以前から政策的に様々な歪みを負わされてきた
ために、震災後の被害がひどくなっている。例えば、広域合併によって住民が
どこにいるのかが把握できない現状があったり、給食がセンター方式になった
ことで避難所(学校)で食事をつくれなかったりしている。
鉄道が被災し高校への通学に困難がもたらされたが、学区が廃止された影響が
重なり、バスによる長距離通学を余儀なくされ、授業に最初から参加できない
などの問題も出てきている。
・災害後の対策も問題が多い。例えば、全寮制の学校をつくろうという発想が
あったが、そこには、児童養護施設に入所している子どもに対して十分な理解
がないと言わざるをえないのではないのか。
・被災した子どもやおとなを支えるにあたっては、援助する側と援助される側
という境界を越えて、お互いがつながっていることを伝えることが大切。
また、被害を受けた子どもやおとなが主体になって地域の復興を行っていく
ことを支えることが最大の援助ではないか。

第2部では、佐藤学さん(東京大学大学院教育学研究科教授・教育子育て九条の
会呼びかけ人)による講演があり、おもに以下のお話がありました。

第2部講演:東日本大震災後に考える子どもの貧困と教育・子育て

・今回の震災では、学校が防災の拠点であることが浮かび上がった。
子どもたちの死者数は少なかったとみてよいのではないか。
つまり、子どもたちは学校によって守られた。発生時に多くの子どもは学校に
いた。もし、自宅にいた場合は、これ以上の被害者が出ていたのではないのか。
・しかし、子どもの本当の被災は震災後に起こっている。学校を失った地域は、
子どもの生活基盤の復興の目途がない。子どもを取り巻く復興は極めて遅れて
いると言わざるをえない。
・日本の子どもの貧困の特徴は、「見えない」こと。教育の分野では、就学援助
制度や奨学金制度が崩れていることが大きな要因となっている。
・教育目的は幸福の目的であるべきである。生存権を維持するために教育が必要。
憲法こそが教育を守るもの。義務教育はライフラインであるべき。教育予算は、
未来への投資である。
・「子ども手当」というすべての子どもへの手当の創設で、日本の子どもは
はじめて、「社会の子」になった。

・最後に、アメリカのオバマ大統領が、大統領になる直前に語ったことばを紹介
したい。
 大統領選の過程で黒人居住区の高校を訪問して語った言葉で、私の親友の
アメリカの最も指導的な教育学者でオバマの教育顧問であるリンダ・ダーリング・
ハモンドが、彼に同行して聴いた言葉です。
These children are not their children, but our children.
「彼らの子どもたちは、彼らの子どもではない。私たちの子どもである」

最後に、本ネットワークの世話人会で協議し、共同代表名によって作成したこのシン
ポジウムに関するアピール文を説明させていただきました。

まとめ:世話人会



6月6日(月)第2回総会のご報告

木曜日, 6月 16th, 2011

6月6日(月)第2回総会のご報告

2011年6月6日
「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク 第2回総会の報告

                     2011年6月18日  世話人会

私たちのネットワークは会員制会費制をとらない個人のゆるやかなネットワークとして出発し、ネットワーク会議(月1回程度)、メーリングリスト(以下ML)を通じての意見交換をふまえて、平常は共同代表と世話人の合議(世話人会)によって運営されています。昨2010年4月の設立シンポジウムから1年を経て、この間の活動の総括と今後の活動方針を議論していただくべく総会を準備していましたが、3月の大震災となり、子どもの貧困をめぐる新たな状況、新たな要因が生じました。今後の活動をめぐっても重要なテーマであると私たちは考えました。

総会の議論の材料となるべき活動報告、総括、活動方針(案)をMLに送付したのが総会当日の昼間、ということで、誠に申し訳ない次第でしたが、総会当日は21名の出席を得て、上記のテーマも含めて以下に報告しますように、活発な議論がなされました。各議案については(議論となった点も含めて)概ね了承をいただきました。MLでお読みになった方も含めて、6月11日まで引き続き御意見をいただき、私たち世話人会として取りまとめを致しましたので、下記の通りご報告致します。

総会内容

議案内容
① 2010年度活動報告(案)
② 2010年度会計報告(案)
③ 助成金事業報告(案)
④ 2010年度総括、2011年度活動方針(案)
⑤ 個人情報取扱規程(案)
⑥ メーリングリスト規程(案)
⑦ 人事(共同代表追加、世話人追加、会計監査選出)(案)
⑧ 参加者からのイベント告知や情報提供
⑨ 次回ネットワーク会議の日程

審議内容
① 2010年度活動報告について
内容を報告し了承されました。
② 2010年度会計報告について
概要を報告しましたが、次回ネットワーク会議で会計監査もふまえて再度報告いたします。
③ 助成金事業報告について
内容を報告し了承されました。

④ 2010年度総括、2011年度活動方針(案)について
④ ―(イ)貧困と震災の関係について
被災した子どもたちの教育面(遠方の他高への通学、給食の未実施など)その他の面での困難が語られました。その困難は、震災前から子どものセーフティネットが崩れて行く中で(例えば、高校統廃合や学区拡大による遠距離通学)一層困難が増幅している、という関係にあることが指摘されました。従って「復興」というのは、単純に震災直前の状態に戻ればよい、というものではない、という指摘もされました。
また被災地以外で子どもの貧困が語りにくくなっている、埼玉県議会で高校授業料無償化廃止の意見書が議決されたが、定時制高校生の経済問題を語る集まりが持ちにくくなったり、自粛ということで市民活動への自治体の協力が得にくくなっている、などの実情が語られました。また震災の被害を重視することが貧困問題を軽視することにつながってしまうのではないか、という危惧も述べられました。
しかし、震災が(適切な支援がなされない限り)新たな貧困をもたらす、という認識では一致し、「震災支援と貧困解決はどちらもこれからの最重要課題であり、2つの課題をつなぐ視点を持つことが重要です」との議案書の方向で一致したと思います。
なお教職員組合でも、この間に給費制奨学金の実現を引き続き文部科学省に求めている、という報告がなされました。

④―(ロ)活動の柱について
「包括的な貧困の解決」という目標と「貧困を解決する各々の個々の活動」の中間的柱を設定することは了解されました。単年度の柱ではなく当面一定期間の柱である、という説明もされました。個々の柱についていくつかの意見も出され、MLでも意見を交換しながら世話人会でとりまとめていきたい、との方向が了承されました。
また、ネットワークの組織・運営体制や財政活動については、今後、見通しをもった検討が課題であるということが、世話人会の共通認識となっています。

④ ―(ハ)東日本大震災子ども支援ネットワークへの参加について
参加する方向には異論はありませんでした。上記ネットワークが団体加盟組織であるのに対して、私たちのネットワークが個人参加のゆるやかなネットワークなので、参加形態としては、すでに加入している(子どもに限定していない)東日本大震災支援ネットワークの場合と同様に、「世話人会」として参加するのがよい、ということになりました。

④―(ニ)6・19シンポについて
④―(イ)の議論の続きで、「震災と貧困」でなく「貧困と震災」とすべきではないか
との意見が出されました。
④―(ホ)7・3学びサポート交流会(10・29学びサポート全国実践交流会プレ企画)について
参加者から新たなサポート活動が報告紹介され、期待が高まりました。
⑤個人情報取扱規程(案)について
ML会員数の増加や、ML会員情報の入ったUSBメモリーの紛失事故(後に発見)を契
機に、個人情報取扱規程(案)を策定し、今後個人情報管理の徹底を図ることを報告し
ました。反対意見はありませんでした。
※MLからの意見をふまえたうえで、了承とする。
⑥メーリングリスト規程(案)について
ML会員数の増加や、ML上で投稿内容や添付ファイルの容量についての意見が
あったことを契機に、メーリングリスト規程(案)を策定したことを報告しました。
MLに投稿できる内容については、「具体例を示した方が良いのでは?」という意見が出
た一方、「投稿できる内容を規制し過ぎると、色々な立場の方からの情報を得られるとい
うMLの魅力が無くなってしまう」という意見もあり、後者の意見に多く賛同を頂きま
した。その他の規程(案)には反対意見はありませんでした。
※MLからの意見をふまえたうえで、了承とする。
⑦ 人事(共同代表・世話人新任追加、会計監査選出)
次の者が、共同代表・世話人会を担うことを提案し、了承されました。
★印は新任
共同代表:湯澤直美、平湯真人★、山野良一、三輪ほう子
世話人:加藤志保、川松亮、酒井勇樹★、中嶋哲彦、綿貫公平
会計監査:加藤洋子
⑧  次回ネットワーク会議は、7月3日に開催する「学びサポート交流会」のあとに開催します。



5月7日(土)「就学援助サポート 実践交流会」を開催致しました

土曜日, 5月 21st, 2011

5月7日(土)に行われた「就学援助サポート実践交流会」につ
いて、次のとおりご報告いたします。

交流会の様子

就学援助サポート実践交流会

報告者:9人
参加者:55人

 参加者は、学校事務職員のほか、教師、自治体議員、学生、研究者、NPOスタッ
フ、ジャーナリストなどでした。参加地域も、長野・埼玉・千葉・東京・神奈川・愛
知・大阪など、遠方からもかけつけてくださいました。就学援助という一つのテーマ
で、このような多様な参加者が一堂に会し、学習・討論する場がもたれたのは、おそ
らく初めてのことと思われます。

 報告では、それぞれの学校・自治体で、よりわかりやすい手続き、より手厚い援助
ができるようにと、長いあいだ努力が積み重ねられてきたこと、一方で、自治体ごと
に援助の内容や手続きのしかたが少しずつ違うことも明らかになりました。ここに、
就学援助を理解し、利用するむずかしさがあることもわかりました。

 学校外でのとりくみとして、川崎市ふれあい館の、保護者にはたらきかけて申請に
同行するあたたかい援助に、参加者の多くが心打たれました。

 感想では、自分の学校・地域でもやってみたい、高校版就学援助制度をつくりた
い、国レベルでの制度が必要ではないか、といった声が寄せられています。

 3月の震災後、実施が延期されていた会でしたが、これからも継続して、交流・学
習の場を設けてほしい、それぞれの地域でも小さな学習会をもちたいといった要望な
どもいただきました。

 今回、熱意ある発言者が9人も参加してくださって、参加者の質疑や討論の時間が
十分でなかったことをお詫びいたします。今後も、いろいろな工夫をして、就学援助
についての学習・交流を続けていきたいと思います。



7月1日「子どもの貧困解決政策検討会―参議院選挙 政党アンケート実施報告」開催

木曜日, 7月 1st, 2010

「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークでは、7月11日投票の参議院議員選挙において、各党が子どもの貧困問題に対してどのような政策をもっているかについて、政党アンケートを行いましました(6月12日送付)。アンケートは、14政党・団体にお送りし、8政党・団体から回答をいただきました。

これに先立って、5月には、各政党に宛てて、子どもの貧困解決に向けた「要望書」をお送りしています。(要望書の写しはこちらです)

政党アンケートの結果を受けて、7月1日(木)、報告会を開催いたしました。

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